韓国の漢陽大学校(Hanyang University)は6月5日、データサイエンス学科(School of Data Science)のキム・ソンシン(Kim Sung-sin)教授らの研究チームが、患者の頭の形に合わせてパーソナライズした経頭蓋磁気刺激(TMS)治療がアルツハイマー病の症状を改善することを確認したと発表した。この研究成果は、JAMA Network Openに掲載された。
TMSは、磁気波を頭部に流して脳の神経細胞を刺激する治療方法である。研究チームはTMS刺激の精度を高めるため、3Dプリンティング技術を用いて患者の頭の形にフィットするマスクを作成した。機能的MRIデータを使用して、記憶を司る脳の海馬と機能的につながっている脳細胞を刺激することで、海馬に間接的な影響を与えた。
キム教授は、「TMSで発生する電流の強度は頭蓋骨から離れるほど弱くなる。頭蓋骨から7センチ以上離れた脳領域を直接刺激することはできないため、大脳皮質を刺激することで間接的に海馬の機能に影響を与える方法を選択した」と説明した。
この方法でアルツハイマー病患者にTMSを適用したところ、4週間後には認知スコアが上昇し、8週間後にはさらに有意義な結果が得られた。また、海馬と大脳皮質間の結合も増加した。これは、TMS治療によって脳機能と認知機能が改善されることを示している。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部