2024年07月
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ナノ材料を用いて転移性乳がん遺伝子物質を高速で検出 韓国・漢陽大学校

韓国の漢陽大学校(Hanyang University)は6月11日、バイオナノ工学科(Department of Bionano Engineering)のイ・ジュフン(Lee Ju-hun)教授らの率いる共同研究チームが、転移性乳がんを10分以内に検出できる「高感度ナノ分子診断技術」を開発したと発表した。この研究成果は、ACS Nanoのオンライン版に掲載された。

近年、がん診断のための非侵襲的検査法である「リキッドバイオプシー」が注目を集めているが、体液に含まれるがん細胞遺伝子がごく微量であり、また急速に分解することがネックとなっている。

この課題を克服するため、研究チームはナノテクノロジーを利用して、転移性乳がんの遺伝物質を迅速かつ高感度に検出するシステムを開発した。新たに開発された分子診断技術では、酸化鉄-金コアシェルナノ粒子を用い、従来のPCR法を用いて遺伝物質を増幅した後、電気化学的測定を用いて乳がんの転移を診断する。

開発された技術は、転移性乳がん患者のがん遺伝子濃度に相当する超低濃度の遺伝子物質を約7分以内に検出できることを実証した。さらに、実験用乳がんマウスの血液から転移を正確に診断することに成功し、臨床応用の可能性が確認された。

イ教授は、「シンプルで安価なナノ材料に、従来の遺伝子増幅法と電気化学測定技術を組み合わせることで、転移がんを迅速かつ正確に診断することができる。この技術的成果は、がん患者、特に早期診断が困難な転移性がん患者の診断、治療、予後観察に大きく役立つ可能性がある」と述べた。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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