韓国の浦項工科大学校(POSTECH)は6月28日、同大学の研究チームが、ブラジルのミナス・ジェライス連邦大学(Universidade Federal de Minas Gerais)の研究者と共同で、さまざまな金属の降伏強度(yield strength)を正確に予測できる人工知能(AI)モデルを開発したと発表した。研究成果は学術誌Acta Materialiaのオンライン版に掲載されている。
(出典:POSTECH)
降伏強度は、外部から負荷がかかった際に材料が変形しはじめる点の応力であり、これを正確に予測することは、高性能な材料の開発や構造的安定性の向上にとって非常に重要である。しかし、予測に必要なデータを収集するには、長時間にわたる広範な実験が必要となる。
今回、研究チームは、降伏強度の予測に必要なコストと時間を削減しながら予測精度を向上するため、粒界すべり(grain boundary sliding)のメカニズムと予測のための機械学習アルゴリズムを組み合わせ、新たな機械学習モデルを開発した。
鉄を主体とするさまざまな合金を用いた検証で、このモデルは、学習していないデータに対しても非常に正確な予測を行うことが示された。
研究を率いたPOSTECHのキム・ヒョンソプ(Kim Hyoung Seop)教授は、「さまざまな実験条件下で多種類の金属の降伏強度を正確に予測できる、汎用的なAIモデルを開発した。今後も材料工学研究の進歩に向け、AI技術を積極的に活用していく」と語った。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部