2024年10月
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EVバッテリーの熱暴走を正確に予測できるAI技術を開発 韓国・漢陽大学校

韓国の漢陽大学校(Hanyang University)は8月27日、機械工学科のオ・ギヨン(Oh Ki-yong)教授(自動車工学科兼任教授)の研究グループが、電気自動車(EV)やエネルギー貯蔵装置などに使われるバッテリーの熱暴走をリアルタイムで正確に予測できる人工知能(AI)技術を開発したと発表した。この研究成果は、学術誌eTransportationに掲載された。

従来のソリューションでは、バッテリーの熱暴走の予測に物理学ベースの数値解析モデルを組み込んでいたが、解釈に時間がかかりすぎるという欠点があった。また、データベースのAIモデルを用いた研究もあったが、大量のデータを必要とするだけでなく、複数の物理的現象が絡み合って生じる熱暴走を正確に予測することができなかった。

こうした限界を克服するため、オ教授の研究グループは、不十分な学習データでも迅速かつ正確に熱暴走を予測できる革新的なAI技術の開発に取り組んだ。具体的には、熱暴走を支配するさまざまな物理方程式をAIに組み込んだニューラルネットワークを開発し、独自の学習戦略を採用することで熱暴走予測の精度とロバスト性を向上させた。

開発された技術は、セル内部の温度分布や主要な化学成分を予測することで「仮想的に感知」でき、物理学ベースの数値解析モデルよりも1万倍速く熱暴走を予測することに成功した。また、データベースのAIモデルに比べ、正確性とロバスト性が約8%向上した。

オ教授は、「この研究結果は、EVバッテリーの温度制御と状態監視を支援することで、EVの安定性確保に大きく貢献するだろう」と述べた。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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