韓国の科学技術情報通信部(MSIT)は10月18日、ICT部門の意思決定機関であるICT戦略委員会(ICT Strategy Committee)の第17回会議を開催した。
今回の会議では、主に以下の3つの議題が話し合われた。
- 第4次クラウドコンピューティング基本計画(2025-27年)の審議と承認:
この計画では、世界的なAI技術の拡大と進化を受け、クラウドコンピューティングの政策の方向性として以下の3つを定めている。
- ① AIに重点を置く世界的競争力のある戦略への移行
- ② 潜在成長力を活かした技術・インフラ面の競争力の確保
- ③ 民間部門主導のエコシステムの支援と、国内クラウド市場の世界基準への適合
- 韓国デジタル戦略(Digital Strategy of Korea)の実施状況の評価と将来の政策の方向性の議論:
2022年にこの戦略が発表されて以来、26の政府機関が200以上の政策タスクの達成に取り組んでいる。こうした取り組みを継続し、国民に目に見える成果を提供するため、2025年の韓国デジタル戦略実施計画が策定された。この計画には以下のタスクが含まれる。
- K-Cloud、低軌道衛星技術、「量子科学技術フラッグシッププロジェクト」等の主要なプロジェクトの立ち上げ
- 才能教育(gifted)・科学高校でのAI・半導体プログラムや、新興技術に特化した大学院の新設を通じたデジタル人材の育成
- 韓国のデジタル企業の世界進出に向けた高需要市場へのデジタル輸出使節団の派遣
- AIセーフティ・インスティテュート(AI Safety Institute)の設立・運用計画に対するフィードバックの共有・収集:
2024年5月にソウルで開催されたAIサミットで設定された目標に基づき、韓国政府は2024年11月にAIセーフティ・インスティテュートを開設することを計画している。同施設はアジア太平洋地域のAI安全性における中心拠点ハブとなることを目指し、以下の3つのミッションに重点を置いた活動を行う。
- ① AI安全性の科学的理解の向上
- ② AI安全性政策の推進と規制の制定
- ③ 国内AI企業によるAI安全性確保の支援
ユ・サンイム(Yoo Sang-im)MSIT長官は「今後1~2年が、AI・デジタル分野における先導国家を目指す韓国の挑戦の成否が決まるゴールデンタイムとなる。本日議論された、クラウドコンピューティングの本格導入やAIセーフティ・インスティテュートといった計画を速やかに実行に移すため、関連政府部処と密に連携していく」と語った。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部