2025年01月
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人体に無害な可視光で骨の再生と接着を達成 韓国POSTECH

韓国の浦項工科大学校(POSTECH)は、同校の研究チームが、人体に無害な可視光で骨の再生と接着を同時に可能にする革新的な注射用ハイドロゲルを開発したと発表した。この研究成果は、学術誌Biomaterialsのオンライン版に掲載された。

骨欠損の従来の治療法では、骨移植片に血清や生体接着剤を組み合わせて欠損部を埋めることが多い。しかし、既存の注射用ハイドロゲルは、体内での形状維持が難しい、あるいは接着強度が限られているといった課題がある。また、骨の再生と接着を同時に達成できないことも多い。

これらの限界に対処するため、化学工学科(Department of Chemical Engineering)と融合科学技術大学院(Graduate School of Convergence Science and Technology)(医科学専攻)に所属するチャ・ヒョンジュン(Cha Hyung Joon)教授率いる研究チームは、人体に無害な可視光の照射で、ハイドロゲル成分の硬化のための架橋と骨形成のためのミネラル化を同時に達成できる新たなハイドロゲルを開発した。このハイドロゲルは、細胞接着を誘発するRGDペプチドを含有するイガイ接着タンパク質(mussel adhesive protein)やカルシウムイオン、光開始剤などで構成され、水と混ざらないコアセルベートをベースとしているため、体内に注入された後もその形状と位置を確実に保持する。

大腿骨欠損の動物モデルを使った実験では、ハイドロゲルの注入と正確な接着に成功し、骨再生に不可欠な成分を効果的に供給することが実証された。

チャ教授は、「我々の研究チームが開発したハイドルゲルシステムは、従来の複雑な骨疾患治療に代わる革新的なものであり、骨組織再生技術を大きく前進させる」と述べた。

(出典:POSTECH)

(2024年12月30日付発表)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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