2025年06月
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産業現場の安全性向上、遠隔操作ロボット用触覚デバイスを開発 韓国

韓国の浦項工科大学(POSTECH)は5月16日、同大学の研究チームが、高リスク産業環境において作業者の安全性と操作効率を向上させるための直感的なハプティック(触覚)デバイスを開発したと発表した。研究成果は学術誌IEEE Transactions on Industrial Informaticsに掲載された。

機械工学科のキム・キーフン(Keehoon Kim)教授とパク・ジェヒョン(Jaehyun Park)博士課程学生を中心とする研究チームが今回開発したのは、遠隔操作ロボットの制御時に指先で直接的な感触を得られる2種類のハプティックデバイスである。1つ目のPOstick-KFは、ロボットが押す・引くといった動作で受ける力の変化を精密に操作者に伝え、繊細な操作を可能にする。2つ目のPOstick-VFは、触覚と視覚の両方のフィードバックを組み合わせることで、広範な作業空間においても効率的に使用できるよう設計されている。両デバイスは実際の工具のサイズ・形状を模しており、初心者でも操作に慣れやすいのが特徴である。

実験では、これらのデバイスが従来のハプティックデバイスに比べて操作精度を向上させ、障害物との衝突を大幅に低減することが確認された。特にPOstick-VFは、継続的な使用を通じてユーザーの習熟度が向上するなど、トレーニング効果の面でも優れていた。

さらに本システムには、仮想空間でロボット操作を模擬できるデジタルツイン技術や、操作の没入感を高める拡張現実(AR)技術も組み込まれている。これにより、ユーザーは仮想空間で実際のロボット操作をシミュレートでき、集中力を更に高めることもできる。

(出典:POSTECH)

キム教授は「この技術は、人間の手先の器用さを必要とする作業を、より安全かつ正確にロボットと協働で行うことを可能にします。これにより産業現場の安全性向上と労働者の負担軽減に貢献できると考えています」と述べた。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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