韓国の光州科学技術院(GIST)は7月25日、加齢によるサルコペニア (筋肉減少症)の主因となるタンパク質DUSP22の過剰活性化を特定し、その抑制により筋肉減少を効果的に予防できることを明らかにしたと発表した。研究成果は学術誌EMBO Molecular Medicineに掲載された。
サルコペニアは、高齢者を中心に筋肉の量と機能が徐々に低下する疾患で、転倒や骨折、歩行障害、慢性疾患の悪化、死亡率の上昇などに直結する。現在、この疾患を治療または抑制できる承認薬は存在しない。研究チームは、老化、ステロイド薬投与、四肢固定など複数の筋萎縮モデルおよびサルコペニア患者の骨格筋組織を解析し、DUSP22が共通して過剰発現していることを突き止めた。
DUSP22はJNKシグナル伝達経路を介して細胞の増殖や分化、アポトーシスに関与するが、筋組織での役割は未解明だった。研究チームは、遺伝子サイレンシング技術やDUSP22選択的阻害剤BML-260を用いて同タンパク質の機能を抑制し、筋萎縮改善効果を検証した。その結果、筋肉減少関連遺伝子Atrogin-1とMuRF-1の発現はそれぞれ52%と57%低下し、筋萎縮が有意に改善した。老化マウスモデルでは、骨格筋重量が約26%増加、筋線維径が約25%回復、筋力が最大55%向上するなど顕著な改善が見られた。この効果は四肢固定モデルやヒト筋細胞モデルでも再現され、臨床応用の可能性が示された。
研究代表者のダレン・ウィリアムズ(Darren Williams)教授は「DUSP22が筋肉減少の主要因であることを世界で初めて解明し、その抑制によってサルコペニアを効果的に緩和できることを示しました。今後、治療薬としての開発を進めます」と述べた。
研究チームはDUSP22タンパク質と阻害化合物に関して国内外で特許出願を行っている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部