2025年09月
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世界初、網膜診断用の無線OLEDコンタクトレンズ開発 韓国KAIST

韓国科学技術院(KAIST)は8月12日、電気工学部(School of Electrical Engineering)のユ・スンヒョプ(Seunghyup Yoo)教授らの共同研究チームが、有機発光ダイオード(OLED)を使用した世界初のウェアラブル網膜診断プラットフォームを開発したと発表した。研究成果は学術誌ACS Nanoに掲載された。

KAISTのユ・スンヒョプ(Seunghyup Yoo)教授(左)と研究チームメンバーら

網膜電図(ERG)は、網膜が正常に機能しているかどうかを判断するために使用される眼科診断法である。ERGは、遺伝性網膜疾患の診断や網膜機能低下の評価に広く使用されている。開発された技術は、レンズを装着するだけでERGを可能にする。

ERGは従来、暗室で固定式のガンツフェルド装置を使用する必要があり、患者は検査中、目を開けてじっとしている必要があった。この検査は、スペース的な制約を課し、患者の疲労や嫌悪感につながる可能性がある。こうした課題を克服するため、研究チームは、超薄型で柔軟性のあるOLED(約12.5µm厚)をERG用コンタクトレンズの電極に組み込み、ワイヤレス給電アンテナと制御チップを装備し、独立した動作が可能なシステムを完成させた。

眼部照明用に開発されたスマートコンタクトレンズ型光源の多くは、無機LEDが使用されている。この硬質のデバイスは、ほぼ一点から発光するため、過剰な熱を蓄積し、利用可能な光強度に影響を与える。一方、OLEDは面光源を備え、低輝度条件下でも網膜反応を引き起こすことができる。この研究では、比較的低い輝度下で、安定したERG信号を誘導することができ、既存の光源と同等の診断結果が得られた。

また動物実験では、OLEDコンタクトレンズを装着したウサギの眼の表面温度が27℃未満に維持され、角膜の熱損傷を回避できることが確認された。さらに、湿った環境下においても発光性能が維持されることから、臨床現場におけるERG診断ツールとしての有効性と安全性が示された。

同教授は、「超薄型OLEDの柔軟性と拡散光特性をコンタクトレンズに統合することは世界初の試みです。この研究は、スマートコンタクトレンズ技術を眼内の光学診断や光療法プラットフォームに拡大し、デジタルヘルスケア技術の発展に貢献できます」と述べた。

図1. ワイヤレスOLEDコンタクトレンズの概略図

図2. ワイヤレスOLEDコンタクトレンズを用いた網膜電図(ERG)検査システムの概略図と検査実施例

OLEDコンタクトレンズのワイヤレス操作

OLEDコンタクトレンズのサンプル
(出典:いずれもKAIST)

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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