韓国の浦項工科大学校(POSTECH)は9月10日、同大の研究者らが、グリセロールの溶媒を用いて八面体のプルシアンブルーの結晶を生成したと発表した。この研究成果は、学術誌Advanced Functional Materialsのオンライン版に掲載された。
プルシアンブルーは、イオンの出入りを容易にする中空の3次元フレームワークを備え、このユニークな特性により、ナトリウムイオン電池の電極から放射性セシウムの除去、触媒、環境修復に至るまで多様な分野で応用されてきた。
しかしながら、このプルシアンブルーの形態はこれまで限定されてきた。プルシアンブルーは水中で生成すると、その反応速度が早いため、粒子の成長が制御できず、立方体の粒子しか生成されなかった。そのため、研究者はプルシアンブルーの形状依存特性の探索や新しい用途の開拓が阻まれた。
POSTECHの研究者らは、この課題に対して溶媒に解決策を見出した。すなわち、水の代わりに粘性のあるグリセロールを用いることで、プルシアンブルーの結晶の成長を遅らせた。この溶媒中では、プルシアンブルーの小さな立方粒子が最初に核を形成し、溶解と再結晶を繰り返し、八面体構造が生成した。ナトリウムイオン電池の電極材料としてテストしたところ、八面体プルシアンブルーに顕著な優位性を確認した。

(出典:POSTECH)
この研究は、特定の溶媒がプルシアンブルーの結晶の成長速度と配向の両方を制御できることを初めて実証した。研究者らは、グリセロール以外にも、他の有機溶媒がこれまで前例のない結晶形態の設計を可能にする可能性があると予測する。
この研究を主導した1人であるPOSTECH電池工学科(Department of Battery Engineering)と化学工学科(Department of Chemical Engineering)のチャンシン・ジョ(Changshin Jo)教授は、「本研究の意義は、プルシアンブルーの新たな形態創出に成功しただけでなく、その成長過程を観察・制御可能とする基本原理を確立したことです。多様な形態設計方法を用いて、先進的なエネルギー貯蔵システムから環境浄化技術に至るまで、用途の大幅な拡大が期待されます」と述べた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部