韓国の光州科学技術院(GIST)は10月3日、環境・エネルギー工学科(Department of Environment and Energy Engineering)のパク・キホン(Kihong Park)教授率いる研究チームが、中国と韓国で収集された微小粒子状物質(PM2.5)の化学組成と酸化能(oxidative potential :OP)を分析し、これらに基づく人工知能(AI)予測モデルを開発したと発表した。研究成果は学術誌Journal of Hazardous Materialsに掲載された。
韓国では、PM2.5のリスクは主に濃度に基づいて評価されている。しかしながら実際の健康への影響は、濃度だけでなく微小粒子を構成する有害物質の種類や量によって異なる。研究チームは、PM2.5の濃度だけでは人体への影響を十分に説明できないことを指摘し、体内でのPM2.5が持つOPを新たな健康リスクの指標として活用した。この指標は、微小粒子が体内で酸化ストレスを引き起こす能力を示し、OPが高いほど、体内で活性酸素種(ROS)が生成される可能性を高くし、呼吸器や心血管への健康影響が増加する。
研究チームは、韓国や中国の都市部と農村部から数年間にわたり、化学成分、濃度、OPの各データを収集し、AIモデルに学習させ、化学成分と濃度に基づいてOPを正確に予測する最適モデルを選定した。また、機械学習アルゴリズムによって生成された結果やアウトプットを人間が理解し信頼できるようにするため、研究チームは説明可能なAI(XAI)技術を用いて、PM2.5の酸化毒性に影響を与える化学成分を特定した。開発されたAIモデルは、微小粒子の健康リスクを正確に診断し、国や地域を限定せず、さまざまな環境におけるPM2.5の傾向を予測する。
同教授は、「本研究は、単純な微小粒子の濃度だけでなく、その構成成分の化学的特性や相互作用を考慮した健康リスク評価手法を提示した点で意義があります」と述べ、「XAI技術は、大気汚染の管理だけでなく、国の政策立案の科学的根拠を提供することも可能です」と強調した。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部