2025年11月
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体内出血を迅速に止める生体吸収性スポンジを開発 韓国POSTECH

韓国の浦項工科大学校(POSTECH)は10月10日、ムール貝の接着タンパク質と脱細胞化細胞外マトリックス(dECM)を組み合わせ、体内出血を迅速に止める複合生体吸収性止血スポンジを開発したと発表した。研究成果は学術誌Advanced Healthcare Materialsに掲載された。

(出典:POSTECH)

手術中の制御不能な出血は依然として深刻な医療課題であり、肝臓や脾臓の損傷による出血は特に危険とされる。研究チームは、出血部位への付着力が弱く体内で分解されにくい従来の止血剤に代わる素材として、強力な組織接着性と高い生分解性を併せ持つ新たな複合スポンジを開発した。

本スポンジはムール貝由来の接着タンパク質によって損傷部に強く付着し、血液を素早く吸収することで止血効果を高める。止血後は自然に分解・吸収され、露出したdECMが組織修復を支援する。また、dECMは体内の凝固経路を活性化し、血液凝固と創傷安定化を促進する。

ワルファリン投与による抗凝固肝損傷モデルでは、スポンジが損傷組織に密着して優れた止血効果を示し、出血時間と血液損失が大幅に減少した。さらに、従来の止血材に比べ炎症や組織損傷の誘発が少なく、治癒初期での創傷安定化を助ける結果が得られた。

この研究は、既存の止血剤の接着性低さと非分解性という限界を克服するだけでなく、内臓出血を安全かつ効果的に管理する新たな方法を実証している。「この複合スポンジは、これまで止血が困難だった重度の内傷においても、迅速かつ安全に止血することができます。追加手術の必要性を減らし、より迅速な回復をサポートすることで、患者ケアを大幅に改善できる可能性があります」と、本研究を率いたPOSTECH化学工学科のチャ・ヒョンジュン(Hyung Joon Cha)教授は述べている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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