韓国の光州科学技術院(GIST)は10月14日、研究チームがVR環境で鼓膜にかかる圧力を再現できる世界初の触覚フィードバック技術「EarPressure VR」を開発したと発表した。
この技術は、医療現場で中耳の圧力を測定するティンパノメトリーを応用し、VRヘッドセットに内蔵したモーターと医療用シリンジで外耳道の圧力を精密に制御する。外耳道内の圧力を±40hPaの範囲で0.57秒以内に再現でき、水中や高所で感じる耳の詰まりを安全に体験できる。
研究チームは、圧力の方向や強度を変化させた実験を実施した結果、約14.4~23.8hPaの差で内外方向を識別でき、14.6~34.9hPaの差で強度を区別できることを確認した。また、水深や環境条件を変えた実験では、音響効果のみの場合に比べ、圧力フィードバックを加えた条件で没入感が大きく向上した。体験者からは「本当に水中にいるような感覚」との感想が寄せられた。
EarPressure VRは軽量なウェアラブル設計で、かさばる装置を追加することなく圧力変化を再現できる。遠隔手術、災害救助、潜水訓練などの専門分野だけでなく、運動や音楽などの日常的な応用も期待されている。研究を主導したキム・スンジュン(SeungJun Kim)教授は「耳内圧を制御して環境圧の変化を直接体験できる革新的な技術です」と述べ、「VRやAR、リモートワーク、シミュレーション訓練など将来のユーザー体験を根本的に変えるでしょう」と語った。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部