2025年12月
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常温3Dプリントで小型赤外線センサー開発 韓国KAIST

韓国科学技術院(KAIST)は11月3日、研究チームが10µm未満の小型赤外線センサーを常温で任意の形状に製造できる3Dプリント技術を開発したと発表した。研究成果は学術誌Nature Communicationsに掲載された。

研究を率いるKAIST機械工学科のキム・ジテ(Ji Tae Kim)教授(左)ら

赤外線センサーは、不可視の赤外線信号を電気信号に変換する電子デバイスの要素部品であり、自動運転車用のLiDARやスマートフォンの3D顔認識、ウェアラブル機器などに用いられている。こうした用途拡大に伴い、小型化や軽量化、柔軟な形状設計への需要が高まっている。

従来の半導体製造プロセスは大量生産に適する一方、急速に変化する技術要求への対応が難しく、高温処理を必要とする工程が多いため材料選択の制約が大きかった。これに対し、KAIST、韓国の高麗大学、中国の香港大学の研究チームは、金属、半導体、絶縁体を液体ナノ結晶インクとして積層する超高精度の常温3Dプリントプロセスを開発した。これにより、単一の印刷プラットフォーム上で赤外線センサーの主要構造を直接形成できる。

研究チームはさらに、ナノ粒子表面の絶縁性リガンドを導電性分子に置き換える「リガンド交換」プロセスを適用することで、高温アニールを行わずに高い電気性能を実現した。結果として、髪の毛の10分の1以下となる10µm未満の赤外線センサーの製造に成功した。

図1. 赤外線センサーの3Dプリンティング
a. 赤外線センサーを構成する電極と光活性層の室温プリンティング工程
b. プリントされた赤外線マイクロセンサーの構造と化学組成
c. プリント赤外線センサーのマイクロピクセルアレイ
(出典:いずれもKAIST)

研究を率いるKAIST機械工学科のキム・ジテ(Ji Tae Kim)教授は、今回の技術について「小型化や軽量化をさらに進めるとともに、これまでにない革新的な製品開発につながる可能性があります。また、高温処理に伴う大規模なエネルギー消費を抑えることで、製造コスト削減や環境負荷の低減を可能にし、赤外線センサー産業の持続可能な発展に貢献します」と述べている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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