2025年12月
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非侵襲的治療を可能にするウェアラブル超音波センサー開発 韓国KAIST

韓国科学技術院(KAIST)は11月12日、電気工学科のヒョンジュ・ジェニー・リー(Hyunjoo Jenny Lee)教授率いる研究チームが半導体ウェーハプロセス(MEMS)を用いて柔軟性と剛性を自由に切り替えることができるフレックス・トゥ・リジッド(FTR)式の静電容量型超音波トランスデューサ(CMUT)を開発したと発表した。

ヒョンジュ・ジェニー・リー(Hyunjoo Jenny Lee) 教授(左)と研究チームメンバーら

従来のウェアラブル超音波センサーは、出力が低く構造的安定性の不足により、高解像度画像や治療用途に適さなかった。これらの課題を克服するため、研究チームは、静的に調整可能な曲率を持つ柔軟な超音波センサーを開発した。この画期的な技術は、身体に合った精密な画像を撮影し、超音波エネルギーを利用した非侵襲的治療を行うウェアラブル医療機器の新たな可能性を開く。

これまでのポリマー膜ベースのCMUTは弾性率が低く、振動時の音響出力不足や焦点がぼやけてしまう問題があった。曲率制御が不足し、対象領域への正確なフォーカスが制限されていた。研究チームは低融点合金(LMPA)を装置に組み込み、電流を印加することで金属を溶融し構造を自由に変形させ、冷却時に再び固化してセンサーを望ましい曲面形状に固定した。

研究者らは、剛性のあるシリコン基板と柔軟なエラストマーブリッジを組み合わせたFTR構造を設計することで、高い出力性能と機械的柔軟性の両立を実現した。内蔵されたLMPAにより、電気制御で固体と液体の状態を切り替え、トランスデューサの動的調整と固定を可能にした。開発されたセンサーは、個別のビームフォーミング電子回路を必要とせず、曲率に応じて特定の領域に超音波を自動的に集束させることができ、繰り返し曲げても安定した電気的・音響的性能を維持した。

この装置の音響出力は、低強度集束超音波(LIFU)のレベルに達し、生体組織に損傷を与えることなく優しく刺激し治療効果を誘発する。動物モデル実験では、関節炎モデルにおいて非侵襲的な脾臓刺激が炎症を軽減し、運動機能を改善することが実証された。

(出典:いずれもKAIST)

研究チームは今後、この技術を2次元アレイ構造へ拡張させ、複数のセンサーをグリッド状に配置することで、高解像度の超音波画像診断と治療応用を同時に可能にしたいと考えている。本技術は半導体製造プロセスと互換性があるため、量産が可能であり、ウェアラブル機器や家庭用超音波システムへの応用が期待されている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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