韓国エネルギー技術研究院(KIER)は、韓国の忠北大学校と共同で、シリコンヘテロ接合(SHJ)太陽電池において効率低下の原因となる欠陥が、2種類の異なる欠陥が重なり合った形態で存在することを初めて明らかにしたと発表した。研究成果は学術誌Advanced Functional Materialsに掲載された。
シリコンヘテロ接合太陽電池は、既存のシリコン系太陽電池技術の中で最も高い変換効率を示す構造であり、近年は複数の太陽電池を積層するタンデム型太陽電池にも用いられている。一方、太陽電池内部に生じる欠陥は電力損失を引き起こし、変換効率や出力を低下させる要因となっている。
欠陥解析には従来、深準位過渡分光法(DLTS)が用いられてきたが、過渡応答がミリ秒単位と極めて短いため、応答全体を捉えることが難しく、複数の複雑な欠陥を含むSHJ太陽電池の解析には限界があった。
そこで研究チームは、従来手法を改良し、過渡応答全体を解析できる新たな解釈手法を提案した。その結果、これまで単一の欠陥と考えられていた主要欠陥が、実際には2種類の欠陥が重なり合ったものであることを特定した。また、製造プロセスや動作条件によって、これら2種類の欠陥の原子結合構造が変化することも確認した。
さらに、太陽電池内部に存在する水素が、欠陥状態の変化に関与していることを実験的に示した。KIER太陽光発電研究部のソン・ヒウン(Hee-Eun Song)博士は「本研究により、高効率シリコンヘテロ接合太陽電池の開発が加速され、KIER独自技術を用いたタンデム太陽電池が実現することを期待しています」と述べた。また、忠北大学校物理学科のキム・カヒョン(Ka-Hyun Kim)教授は、「この研究は、欠陥と不動態化の関係についての根本的な理解を促すものです。開発された分析方法は、太陽電池だけでなく、センサー、LED、CMOSデバイスなど、幅広い半導体およびディスプレイアプリケーションに拡張できるものです」と語った。
(2025年12月2日付発表)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部