2026年02月
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染色なしで心筋組織の健全性を解析、新画像診断技術開発 韓国POSTECH

韓国の浦項工科大学校(POSTECH)は1月7日、同校の研究チームが心臓や腱などの組織の構造的健全性を、染色しないで解析できる新しい画像診断技術を開発したと発表した。研究成果は学術誌Light: Science & Applicationsに掲載された。

心筋などの生体組織は機械的な強度と機能を維持するため、高度に配列したタンパク質繊維に依存している。これは強くより合わせた繊維が、ロープを強化するのとよく似ている。しかしながら、心筋梗塞や線維症、がんなどは、タンパク質繊維の配列を悪化させ、構造の乱れや組織の機能不全を引き起こす。組織のわずかな変化の検出は重要であるが、従来の手法である組織学的免疫蛍光染色法は手間がかかり抗体に依存するため、不安定で客観的評価が難しい。

研究チームはこの課題を克服するため、中赤外二色性光音響顕微鏡(MIR-DS-PAM)と呼ばれる技術を開発した。MIR-DS-PAMはラベルを使わないイメージング技術で、組織内の化学組成と構造異方性の両方を明らかにすることができる。組織を中赤外光で照射すると、タンパク質は分子結合に応じて特定の波長を吸収する。MIR-DS-PAMはこの過程に偏光制御を加えることで、繊維配列に関するベクトル吸収を検出し、微細組織の定量解析を可能にする。

ラベルフリー中赤外二色性感受型光音響顕微鏡を用いた人工心筋組織の構造解析の模式図
(出典:POSTECH)

研究チームは人工心筋組織を用いて実証したところ、組織が成熟するにつれて、MIR-DS-PAMはタンパク質の蓄積増加と細胞外マトリックスタンパク質(コラーゲン線維など)の進行的な配列を検出した。また線維症モデルを用いた実験でも、健康な組織と構造の乱れた病変組織を明確に区別し、蛍光顕微鏡法との強い相関が得られ、染色剤やラベルの利用を不要にした。

研究チームのキム・チュルホン(Chulhong Kim)教授は開発した技術の利点について、「MIR-DS-PAMは蛍光顕微鏡に匹敵する信頼性の高い定量的構造情報をラベルフリーで提供することができます」と述べた。また同チームのジャン・ジナ(Jinah Jang)教授はこの技術の今後について、「これは組織の包括的評価を可能にするため、人工組織や疾患モデルの研究を大幅に加速させます」と述べた。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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