韓国科学技術院(KAIST)は1月12日、研究者らがOLEDの平面構造を維持したまま、内部の光損失を抑え、発光効率を2倍以上に向上させる新たな設計手法と近平面光取り出し構造を開発したと発表した。研究成果は学術誌Nature Communicationsに掲載された。

ユ・スンヒョプ(Seunghyup Yoo)教授(右)と研究チームメンバーら
有機発光素子(OLED)は、優れた色再現性や薄型でフレキシブルな構造を特長とし、スマートフォンやテレビに広く利用されている。一方、OLED内部では光が有機薄膜層内で反射や吸収を繰り返し、発生した光の80%以上が外部に放出される前に失われることが、輝度向上の制約となってきた。
この課題に対し、KAIST電気工学部の研究チームは、従来のOLED設計で前提とされてきた無限に広がる発光面ではなく、実際のディスプレイで用いられる有限なピクセルサイズを考慮した設計戦略を提案した。この設計により、同一サイズのピクセルからでも、より多くの光を外部に取り出せるとしている。

準平面光取り出しOLED技術
さらに研究チームは、OLED表面をほぼ平坦に保ちながら、光を前方へ効率的に取り出す近平面光取り出し(アウトカップリング)構造を開発した。この構造は既存のマイクロレンズアレイと同程度の薄さでありながら、同じ横寸法の半球レンズに近い光取り出し効率を示すとされる。
研究を主導したユ・スンヒョプ(Seunghyup Yoo)教授は、「これまで多くの光アウトカップリング構造が提案されてきましたが、そのほとんどは大面積の照明用途向けに設計されており、多数の小さなピクセルで構成されたディスプレイに効果的に適用することが、多くの場合困難でした。本研究で提案されたほぼ平面状の光アウトカップリング構造は、各ピクセル内の光源のサイズに制約を設けて設計されており、隣接するピクセル間の光干渉を低減しながら効率を最大化しています」と話した。

光取り出し構造の概略図と応用例
(出典:いずれもKAIST)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部