2026年02月
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光周波数コムで電波望遠鏡の観測タイミングと位相を高精度同期 韓国KAIST

韓国科学技術院(KAIST)は1月15日、研究者らが光周波数コムレーザーを電波望遠鏡の受信機に直接適用し、複数の電波望遠鏡の観測タイミングと位相を高精度に同期させる基準信号技術を実装したと発表した。研究成果は学術誌Light: Science & Applicationsに掲載された。

キム・ジョンウォン(Jungwon Kim)教授(右から2人目)と研究チームメンバーら

電波望遠鏡は、宇宙から届く微弱な電波信号を捉え、天体の画像を生成する観測装置である。遠方のブラックホールを観測するためには、複数の電波望遠鏡が同時に信号を取得し、あたかも1台の巨大な望遠鏡のように機能する必要がある。この手法は超長基線電波干渉法(VLBI)と呼ばれ、各望遠鏡で受信した電波信号の位相を正確にそろえることが重要とされてきた。

従来のVLBIでは、電子回路による基準信号を用いて位相同期が行われてきたが、観測周波数の高周波化に伴い、精密な位相校正が難しくなるという課題があった。こうした背景から、研究チームは信号生成の段階から光を用いることで、位相同期の基礎精度を高める方法を検討した。

研究で用いられた光周波数コムレーザーは、一定間隔で並んだ数万本の正確な周波数成分を持つ光源であり、それぞれの周波数と間隔は原子時計レベルで制御されている。研究チームは、この光周波数コムを電波望遠鏡の受信機に直接入力することで、基準信号生成と位相校正を単一の光学系内で同時に行う技術を実装した。

本技術は、韓国VLBIネットワーク(KVN)の延世大学校電波望遠鏡での試験観測により検証され、電波望遠鏡間で安定した干渉縞(フリンジ)が検出された。さらに、KVNソウル大学校平昌電波望遠鏡にも同システムが設置され、複数の観測地点を用いた観測が実施された。

システム原理のイメージ(AI生成画像)
(出典:いずれもKAIST)

研究には、KAIST機械工学科のキム・ジョンウォン(Jungwon Kim)教授を中心に、韓国天文宇宙科学研究院、韓国標準科学研究院(KRISS)、ドイツのマックス・プランク電波天文学研究所(MPIfR)が参加した。同教授は、「本研究は、光周波数コムレーザーを電波望遠鏡に直接適用することで、既存の電子信号生成技術の限界を克服した事例です」と述べている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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