韓国科学技術院(KAIST)は1月19日、グローバル開発戦略センター(G-CODEs)の研究者らが1月18日に、カナダのMila-Quebec人工知能研究所や英国のオックスフォード大学、ドイツのアーヘン工科大学などの世界各国の機関と共同で、政策報告書「多国籍先進AI開発の青写真(A Blueprint for Multinational Advanced AI Development)」を発表したと明らかにした。
報告書は、世界のAIコンピューティング能力の約90%が米国(75%)と中国(15%)に集中している現状を指摘し、こうした偏在が「AIブリッジパワー」と呼ばれる中堅国にとって、最先端AIを独自に開発する上で大きな制約となっていると分析している。特定の国や巨大IT企業への技術依存が進むリスクも強調した。
AIブリッジパワーとは、米国や中国のような超大国ではないものの、世界水準の研究力とデジタル基盤を持つ一方、単独では超大規模AIシステムの構築が難しい国を指す。報告書では韓国、カナダ、英国、ドイツ、シンガポールなどが例として挙げられた。
提案された協力モデルは、欧州原子核研究機構(CERN)に類似した多国間共同研究の枠組みで、計算インフラの共有、高品質データの共同活用、人材や研究の国境を越えた交流を柱とする。これにより、最先端AIモデルを共同開発すると同時に、倫理的配慮や言語・文化の多様性を反映した包括的なAIエコシステムの構築を目指すとしている。また、参加国の長期的な技術的自立とイノベーション能力強化も提言している。
アーヘン工科大学のホルガー・フース(Holger Hoos)教授はこの提案を野心的だが極めて現実的な多国間AIパートナーシップの計画と評価した。KAISTのパク・キョンリュル(Park Kyung Ryul)教授は、科学的連帯を通じ、AIブリッジパワーが米中とは異なる道を示すことができるとし、責任あるAIリーダーシップ確立の機会となると述べた。
本報告書には、オックスフォード大学、Mila、米国とヨーロッパに拠点を持つNPO法人であるThe future society、パリ平和フォーラムなどの世界的に有名な学者が参加し、韓国ではKAISTのG-CODEsが中心的な役割を果たした。


KAISTのパク・キョンリュル(Park Kyung Ryul)教授(上段左)とアーヘン工科大学のホルガー・フース(Holger Hoos)教授(上段右)、および報告書提案のメンバーら
(出典:いずれもKAIST)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部