韓国の漢陽大学校(Hanyang University)は2月19日、ERICAキャンパス(HYU ERICA)でナノダイヤモンドとカーボンナノ粒子を用いた界面設計により、次世代リチウム金属電池で課題となるデンドライト(樹枝状結晶)の成長を抑制する「自己形成型二重保護層」技術を開発したと発表した。研究成果は学術誌Advanced Energy Materialsに掲載された。
本研究は、HYU ERICAエネルギー・生命科学科のユ・ウォンチョル(Yoo Won-cheol)教授とキム・ビョンヒョン(Kim Byung-hyun)教授が率いる研究チームが、韓国の成均館大学校のチョン・ハクソン(Chung Hak-sung)博士らと共同で実施した。リチウム金属は高い理論容量とエネルギー密度を持つため次世代二次電池の負極材料として有望視されているが、充電時にリチウムデンドライトが成長することで性能劣化や発火の危険が生じる課題がある。
従来は保護層を用いた対策が検討されてきたが、電気化学的な安定性、イオン伝導性、構造的な堅牢性を同時に満たす材料設計は難しく、実用化の障壁となっていた。研究チームは、充放電時に生じる電界によって界面層の成分が自発的に再配置する仕組みに着目し、ナノダイヤモンドとカーボンナノ粒子を混合した材料を用いて導電率勾配を持つ二重構造の界面層を形成する手法を提案した。
リチウムのめっきが進むと導電性カーボンは集電体側へ移動して導電性の下層を形成し、「親リチウム性」に改質されたナノダイヤモンドは上部に残って電子を遮断する絶縁層となる。この二層構造により、局所的な電流集中とデンドライトの成長を同時に抑制できる。
電極試験では、この導電率勾配二重層を適用した電池が9.5mVという低い過電圧を5800時間維持し、最大700サイクルで容量の98.8%を保持した。また実際の産業基準を上回る超高負荷正極条件(93.8mgLFP cm−2)でも、50サイクル後に容量の90.6%を維持する性能を示した。
ユ教授は「電界によって界面が最適な構造へ整列するメカニズムを示すことで、安全性の高いリチウム金属負極の実用化の可能性を高めました」と述べた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部