2026年04月
トップ  > 韓国科学技術ニュース> 2026年04月

AIを活用し、水素自動車に用いる新たな触媒設計技術を開発 韓国KAIST

韓国科学技術院(KAIST)は2月27日、ソウル大学校と共同で、人工知能(AI)を使って白金-コバルト(Pt-Co)触媒の原子配列傾向を予測し、亜鉛(Zn)を介して高活性と高耐久を両立する新たな触媒設計技術を開発したと発表した。研究成果はAdvanced Energy Materialsに掲載された。

KAIST材料科学工学科のチョ・ウネ(EunAe Cho)教授(下段右)と研究チームメンバーら

水素自動車の燃料電池では、発電に不可欠な白金触媒が高コストで、長期間の使用で性能が低下しやすいことが課題となっている。既存のPt-Co合金触媒は高い性能を示す一方、原子が規則的に並ぶ金属間化合物(L10)構造を作るには高温の熱処理が必要だった。この過程で粒子が凝集しやすく、構造も不安定になりやすいため、実際の燃料電池への応用には制約があった。

Schematic diagram of AI-based atomic alignment prediction

研究チームはこの課題に対し、機械学習に基づく量子化学シミュレーションを導入した。AIで触媒内部の原子の移動や配列を予測した結果、ZnがPt-Coの原子配列を促進する媒介元素として重要な役割を持つことを見いだした。Znを加えることで、原子がより適した位置に並びやすくなり、より安定した構造の形成につながるという。

Synthesis process of Zinc-introduced Platinum-Cobalt catalyst

AIの予測に基づいて合成したZn-Pt-Co触媒は、市販の白金触媒と比べて高い活性と優れた長期耐久性を示した。AIが導いた設計指針を、実際の実験で高性能触媒として実装できることを示した成果といえる。この技術は、水素乗用車や長距離走行向けの水素トラック、水素船舶、エネルギー貯蔵システム(ESS)など、脱炭素関連分野で触媒寿命の延長と製造コストの低減に役立つ可能性がある。

Conceptual diagram of AI-based catalyst development (AI-generated image)
(出典:いずれもKAIST)

KAIST材料科学工学科のチョ・ウネ(EunAe Cho)教授は、「本研究は、機械学習を用いて触媒の原子配列傾向を事前に予測し、それを実際の合成によって実現した事例であり、AIベースの材料設計は次世代燃料電池触媒開発の新たなパラダイムになります」と語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

  • アジア・太平洋総合研究センター
  • Science Japan
  • 客観日本
上へ戻る