2026年04月
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脳の学習原理を応用したAIの安定学習技術を開発 韓国KAIST

韓国科学技術院(KAIST)は3月6日、人間の脳の学習原理をディープラーニングに応用し、人工知能(AI)モデルでも安定した学習を可能にする新技術を開発したと発表した。

イ・サンワン(Sang Wan Lee)特任教授(左)と研究チームメンバー

AIは囲碁や画像生成、対話など幅広い分野で活用が進んでいるが、人間の脳に比べてはるかに多くの電力を必要とする。このため研究者の間では、脳がなぜ少ないエネルギーで高度な学習を実現できるのかが重要な課題となってきた。KAISTの研究チームは、脳が次に起こることを予測し、その予測と現実の差である予測誤差を小さくするように自らを調整する「予測符号化」に着目した。

「予測符号化」(PC)モジュール

従来もこの原理をAIに取り入れる試みはあったが、ニューラルネットワークが深くなると誤差が特定の層に集中したり、逆に消失したりして、学習が不安定になる問題があった。そこで研究チームは、この原因を数学的に解析し、最終的な出力だけでなく、将来の予測誤差の変化も見通して学習する「メタ予測」を提案した。これはAIが自らの間違いをもう一度見直すような仕組みである。

予測符号化モデル誤差における不安定性の分析

この手法を深層ニューラルネットワークに適用した結果、学習は停止することなく安定して進行した。実験では30回中29回で、現在の標準的な学習法である誤差逆伝播法(バックプロパゲーション)を上回る精度を達成した。誤差逆伝播法は、誤差の量を逆算して修正する代表的な学習手法として知られる。

予測符号化モデルの性能比較
(出典:いずれもKAIST)

今回の成果は、大規模AIでも脳のように分散的かつ部分的に独立した学習が可能であることを示した点に意義がある。今後は、電力効率が重視されるニューロモルフィックコンピューティング、環境変化に適応するロボットAI、端末内で動作するエッジAIなどへの応用が期待される。本研究の責任著者のイ・サンワン(Sang Wan Lee)特任教授は、脳のように効率的に学習する人工知能の可能性を開いたとして、成果の意義を示した。

本研究は国際学習表現会議(ICLR 2026)に採択され、1月26日にオンライン公開された。また、本研究は韓国科学技術情報通信部および情報通信企画評価院(IITP)によるデジタルグローバル研究支援プログラム、サムスン電子SAIT NPRCプログラム、およびSWスターラボプログラムの支援を受けて実施された。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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