2026年05月
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脳回路を直接操作する分子プラットフォームを開発 韓国IBS

韓国の基礎科学研究院(IBS)は4月15日、同院と韓国脳研究院(KBRI)の研究者らが、アストロサイトを利用して特定の神経回路におけるシナプス結合を選択的に再構築する新たな分子プラットフォーム「Synthetic Trogocytosis(SynTrogo)」を開発したと発表した。研究成果は学術誌Nature Communicationsに掲載された。

脳の情報処理は神経細胞間のシナプス結合に依存し、発達過程では不要または弱い結合が刈り込まれるが、特定回路においてこのような構造の再構築を意図的に誘導する手法は確立されていなかった。IBS記憶・グリア科学センターのイ・サンギュ(LEE Sangkyu)博士およびC・ジャスティン・リー(C. Justin Lee)所長が率いる研究チームは、KBRIのイ・ケア・ジュ(LEE Kea Joo)博士との共同研究により、このような構造の直接的な操作を可能にするSynTrogoを開発した。

本プラットフォームは、神経細胞に導入したリガンドとアストロサイトに発現させた受容体の結合により、アストロサイトが神経膜やシナプス構造をかじるように部分的に取り込むtrogocytosisに類似した過程を誘導し、特定の脳回路においてシナプス結合の選択的再構築を可能にする。海馬のCA3-CA1回路に適用した結果、興奮性シナプス数は約27%減少した。

一方で残存シナプスでは前後シナプス構造の肥大化やシナプス小胞数の増加が確認され、電気生理学的解析では長期増強(LTP)が有意に強化された。さらにSynTrogo処理後のシナプスは、より可塑的で学習に適した状態となり、学習前にはAMPA受容体応答が低下する一方、学習後には回復して経験依存的なシナプス強化が促進された。マウスの恐怖条件付け試験では記憶形成および長期保持が向上し、消去学習能力も維持された。

高分解能解析ではアストロサイトと軸索の密接な接触界面と局所的な膜変形が確認され、変化は局所的で制御されたものであった。イ・サンギュ博士は「神経活動とは独立に脳回路を直接操作できることを示しました」と述べ、イ・ケア・ジュ博士は「シナプス数が減少しても機能は強化され得ます」と指摘した。リー所長は「一部の結合除去が回路の適応的再編を促します」とし、本技術がコネクトーム編集や神経疾患研究の基盤になる可能性を示した。

SynTrogoは、人工的に設計されたリガンドおよび受容体タンパク質を介して、アストロサイトによる神経細胞膜の「かじり取り」を可能にする。SynTrogo誘導後、標的CA3-CA1海馬回路のシナプス密度は約27%有意に減少した。逆に、残存シナプスは構造的および機能的なリモデリングを受け、シナプス前部およびシナプス後部の拡大、長期増強(LTP)の強化、記憶形成および保持の改善が特徴となった。
(出典:韓国IBS)

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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