2026年06月
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自閉症関連遺伝子の強い変異が女性の持つ保護効果を上回る可能性を示唆 韓国IBS

韓国の基礎科学研究院(IBS)は5月20日、韓国科学技術院(KAIST)、延世大学校、IBSの共同研究チームが、世界初となる生存可能なホモ接合型CHD8遺伝子変異自閉症マウスモデルを開発し、変異の重症度が自閉症における性差を変化させることを明らかにしたと発表した。研究成果は学術誌Molecular Psychiatryに掲載された。

自閉スペクトラム症は女性より男性で多く、男児での診断は女児の約4倍に上る。女性には自閉症への脆弱性を低下させる生物学的保護機構があると考えられてきたが、直接的な実験的証拠は限られていた。CHD8は、自閉スペクトラム症や他の神経発達疾患の重要な遺伝的リスク因子の一つで、クロマチン構造を再構成し、脳発達に関わる多くの遺伝子の働きを調節する。

従来の動物モデルは変異CHD8を1コピーだけ持つため症状が比較的軽く、重症型の解析には限界があった。CHD8の両方のコピーに変異を持つマウスは胚発生中に死んでしまうため作製が困難だったが、共同研究チームは異なる系統のマウスの遺伝的特徴を組み合わせることで生存を可能にし、脳発達、神経活動、行動、遺伝子発現の面で軽度と重度のCHD8遺伝子変異を直接比較した。

その結果、変異CHD8を1コピーだけ持つマウスでは主に雄に行動異常が現れた一方、両コピーに重度の変異を持つマウスでは雌雄双方に顕著な自閉症関連異常が見られた。ホモ接合型変異マウスでは、脳体積の増大、脳血流の変化、脳リズムの乱れ、シナプスシグナル伝達、RNAスプライシング、ミトコンドリア機能に関わる広範なトランスクリプトームの変化も確認された。

延世大学校のイ・ウニ(Eunee Lee)教授は、「女性はCHD8関連機能障害に対する生物学的な保護機構を持つ可能性がありますが、重度の変異はその保護効果を圧倒し得ることを示唆しています」と述べた。IBSシナプス脳機能障害研究センターのキム・ウンジュン(Eunjoon Kim)所長は、「自閉症における性差が変異の強さに応じて変化することを初めて実証し、生物学的性別と重症度を考慮した精密治療法の開発に向けた基盤を築きました」と語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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