2026年06月
トップ  > 韓国科学技術ニュース> 2026年06月

AIや動物は意識を持つのか、科学的方法の限界を指摘 韓国IBS

韓国の基礎科学研究院(IBS)は5月27日、IBSの研究者らが、動物、人工知能(AI)、胎児、オルガノイドの意識をめぐる問いに、現在の科学的方法ではまだ信頼性をもって答えられない可能性があるとする分析を発表した。研究成果は学術誌Neuronに掲載された。

AIシステムが高度化する中、AIは本当に意識を持つことができるのか、動物やオルガノイド、胎児に主観的経験があり得るのかという問いが、哲学に限られず科学界や社会一般の議論に入っている。IBS神経科学イメージング研究センターのハクワン・ラウ(Hakwan LAU)センター長が率いる研究チームは、モントリオール大学とニューヨーク大学の共同研究者とともに、現在の意識科学の方法を検討した。

論文は、神経科学で意識がどのように研究されているかを批判的に検討し、広く用いられる多くの実験手法が、主観的経験と一般的な情報処理を明確に区別できていないと指摘する。研究者らは、動物、AIシステム、胎児、オルガノイドが意識を持つかどうかを判定するのではなく、現在の科学的方法が意識そのものを実際に測定しているのかという、より根本的な問いを扱ったと強調している。

具体的には、視覚マスキング、両眼視野闘争、知覚閾値検出などの実験パラダイムは、意識経験だけでなく、脳全体の情報処理能力も変化させることが多い。このため研究者は、意識をより広い知覚能力や認知能力と意図せず混同する可能性がある。近年、動物の意識、意識を持つAI、胎児の意識、実験室で培養された脳オルガノイドをめぐる議論が広がる一方、そうした主張を支える実験上の指標の多くは、意識経験そのものではなく情報処理を主に追跡している可能性があるという。

意識科学における知覚と主観的経験の混同
A) 意識研究における多くの実験パラダイムは、両眼視野闘争の場合のように、意識的に知覚される刺激と非意識的な刺激を対比します(図中に示す例)。
B) 刺激が意識的に知覚されると、そのように報告することができ、脳内で強い知覚的および認知的信号が生成されます(例えば、刺激のカテゴリーも処理されます)。
C) しかし、実験操作によって刺激が見えなくなると、主観的経験がなくなるだけでなく、脳による刺激の一般的な処理も妨げられることがよくあります。
D) 重要なことに、いくつかの実験的手法は、一般的な知覚処理を比較的そのままに、見るという主観的経験を選択的に排除することによって、この方法論的な交絡をより適切に制御するのに役立ちます。
(出典:IBS)

研究チームは、意識的な気づきが知覚や行動から切り離され得る盲視や半側空間無視などの神経心理学的状態に着目した。こうした症例は、主観的経験と情報処理が分離可能な過程であることを示し、意識を科学的に調べるより厳密な方法につながる可能性がある。同センター長は「意識に関する科学的主張が、動物福祉、AI倫理、生命倫理をめぐる議論に影響を与えるのであれば、そうした主張を支える科学的基盤は特に厳格でなければなりません」と述べた。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

  • アジア・太平洋総合研究センター
  • Science Japan
  • 客観日本
上へ戻る