2026年08月
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中赤外光の独立制御技術を開発、宇宙機器への応用に期待 韓国KAIST

韓国科学技術院(KAIST)は7月14日、同院の研究者らが電気信号だけで画素ごとに透過光の強度を独立制御できる、拡張可能な2次元メタサーフェス構造の透過型中赤外空間光変調器を世界で初めて実証したと発表した。研究成果は学術誌Nature Communicationsに掲載された。

図1. 画素を電気的に独立制御できる2次元メタサーフェスアレイの構成と作製したデバイス

KAIST航空宇宙工学科のキム・ヒョンジョン(Hyun Jung Kim)教授の研究チームは、米国のマサチューセッツ工科大学(MIT)のジュージュン・フー(Juejun Hu)教授の研究チームと共同研究を行った。開発した装置は、髪の毛よりはるかに小さい微細パターンで光を制御する極薄構造「メタサーフェス」を用い、各画素が透過する中赤外光の強度を、設定した2状態間で切り替える。

従来の液晶型装置には材料による光吸収と比較的遅い応答、デジタルマイクロミラー型には反射方式という制約があり、透過型中赤外空間光変調器はほとんど研究されていなかった。研究チームは、電気信号で光透過率が変わる相変化材料GSST(Ge2Sb2Se4Te、ゲルマニウム・アンチモン・セレン・テルル)を採用した。GSSTは電源を切っても状態と光学性能を保つため、電力が限られる人工衛星や宇宙搭載機器に適している。

図2. 電気加熱によって相変化材料を制御するメタサーフェス型光学プラットフォームの応用可能性と、将来の宇宙システムへの展開を示す概念図
(出典:いずれもKAIST)

さらに各画素にシリコンPINダイオードを組み込み、選択した画素以外にも電流が流れて作動する「スニークパス」問題を解決した。6×6画素アレイの全画素を独立制御して目的の光学パターンを形成し、1万6700回を超す切り替え後も安定した性能を維持。従来技術の約13倍の耐久性を示した。標準的な半導体製造工程を使うシリコンフォトニクスで作製したため、数百~数千画素以上への拡張も比較的容易という。

キム教授は「1個の光学チップが任務に応じて多様な機能を果たす、ハードウェアを交換せずにセンサー機能を変更できる時代の基盤を示しました」と語った。現在は透過光量だけを制御するが、将来は光の方向や偏光も制御し、熱画像センサー、分光器、赤外線カメラ、光通信装置、打ち上げロケットの健全性診断、宇宙ステーションの熱監視などへの応用が期待される。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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