韓国の高麗大学校(KU)は7月28日、化学・生物工学科の研究チームが、水電解で水素を生産すると同時に、陽極で酸素の代わりにメタンから高付加価値化合物のエタノールを生成する電気化学技術を開発し、その触媒を選定する設計基準を提示したと発表した。研究成果は学術誌Chemical Engineering Journalに掲載された。
水電解は、電気で水を分解してクリーン水素を生産する技術で、通常は陰極で水素、陽極で酸素が生成される。近年、陽極反応を利用して水素と有用物質を同時に生産する研究が活発化している。研究チームは、陽極の酸素発生反応(OER)をメタン酸化反応(CH4OR)に置き換え、天然ガスの主成分で、分子構造が非常に安定したメタンをエタノールに変換する方法を追究した。
同学科のムン・ジュンヒョク(Moon Jun-hyuk)教授率いる研究チームは、触媒を一つずつ探す従来法ではなく、コンピューターシミュレーションにより、2つの指標を用いて触媒候補を選別した。触媒表面の酸素が反応中に離脱せず安定して存在できるかという「熱力学的安定性」と、メタンの強固なC-H結合を切断する容易さを示す「C-H結合活性化障壁」を基準に、15種類のルチル型金属酸化物を比較した。その結果、両条件を満たす最適な触媒として酸化ルテニウム(RuO2)を導き出した。
研究チームはさらに、実際の反応でメタンがエタノールに変換される過程を実証した。メタンが触媒表面の酸素を介して反応しやすい活性状態になるC-H活性化と、炭素原子同士が結び付いてC-C結合を形成する機構も解明した。今回の成果は、メタン資源化触媒の設計に新たな方向性を示すと同時に、電気化学に基づくエネルギー変換研究の拡張可能性を示した。筆頭著者で同学科博士課程のチェ・ジユン(Choi Ji-yun)氏は「本研究の意義は、電気化学的メタン酸化触媒を設計する2つの重要な基準を提示し、これまで明確な確認が困難だったC-H活性化とC-C結合形成をリアルタイムで追跡したことです」と述べた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部