2026年09月
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変化速度に対応し、応答速度を調整可能なAI半導体を開発 韓国KAIST

韓国科学技術院(KAIST)は8月7日、同院の研究者らが、異なる速度で変化するデータを処理するため、時間応答特性を複数の状態に調整して保持できる人工知能(AI)半導体素子「プログラマブル動的メムトランジスタ(PDM)」と、その集積アレイを開発したと発表した。研究成果は学術誌Nature Communicationsに掲載された。

左から、キム・デウォン(Dae-won Kim)氏とチェ・シンヒョン(Shinhyun Choi)教授

現在のコンピューターやスマートフォンでは、時間とともに変化するデータの分析に複雑なソフトウェア処理が必要で、計算負荷と消費電力が大きい。このため、半導体ハードウェアでデータを直接処理する技術が研究されてきたが、従来素子は製造後に応答速度を変更できなかった。メムトランジスタは、メモリーの保存機能とトランジスタの演算機能を併せ持つ次世代半導体素子である。

図1.複数の時間スケールにわたる時系列信号を処理するプログラマブル動的メムトランジスタ(PDM)の概念と動作原理

研究チームは、データを処理する電荷蓄積層と、応答速度を不揮発的に制御する電子捕獲層を組み合わせた二層構造を採用した。前者が入力データを処理し、後者が素子の元の状態に戻る速度を多段階で制御する。実験では電流回復時間を約5倍、特性周波数を10倍超の範囲で調整できた。

速い変化と遅い変化が混在するデータの予測では、応答が固定された従来素子と比べ、誤差を最大40分の1に低減した。入力の時間スケールに応答特性を合わせることで、筆記や物体の移動速度が変わっても正確に処理できる。設定は外部電力の継続供給なしで保持され、複雑な前処理も不要だ。商用半導体プロセスの材料と完全に互換性があり、量産・商用化にも有利という。PDMアレイは、従来のソフトウェア方式よりはるかに少ないエネルギーで同等の予測精度を達成した。

図2. 多様な時間応答特性を備えたPDM集積アレイの構造と、複数の時間スケールを持つ時系列信号の処理性能
(出典:いずれもKAIST)

筆頭著者はKAIST半導体工学大学院博士課程のキム・デウォン(Dae-won Kim)氏、責任著者は電気工学部と半導体工学大学院のチェ・シンヒョン(Shinhyun Choi)教授で、サムスン電子(Samsung Electronics)半導体研究所の研究者らも共著者として参加した。同教授は「異なる速度で変化するデータを効率的に処理できるAI半導体を実証しました。自動運転車、ロボット、ウェアラブル機器などのAIデバイスの性能を高め、消費電力を削減する中核技術になると期待しています」と述べた。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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