2026年09月
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分子ネットワークの完全性を高めた高性能水素分離膜を開発 韓国KAIST

韓国科学技術院(KAIST)は8月13日、同院の研究者らが高分子膜内にオングストローム(Å)スケールの水素選択的輸送経路を形成し、「ネットワーク完全性」に基づいて分離性能を明らかにしたと発表した。研究成果は学術誌Nature Communicationsに掲載された。

研究チームメンバー。左からイ・ホンジュ(Hongju Lee)博士、ペ・テヒョン(Tae-Hyun Bae)教授、チェ・スヒョン(Suhyeon Choi)氏

水素をクリーンエネルギー源として広く利用するには、製造時に生じる混合ガスから水素だけを高純度で取り出す必要がある。金属有機構造体(MOF)や共有結合性有機構造体(COF)は均一な細孔を設計できる一方、欠陥のない大面積膜の作製が難しく、水素のような小分子の分離にも限界がある。高分子膜は加工と大面積化が容易だが、細孔形成の精密制御が難しかった。

KAIST化学生命工学科のペ・テヒョン(Tae-Hyun Bae)教授が率いる研究チームは、高分子鎖を架橋剤で連結するモジュール型ネットワークを設計した。従来の架橋度(CD)や、部分的な接続も含めてネットワーク形成に寄与し得る架橋を評価する指標(ECD)では、分離に有効な細孔が実際に形成されたかどうかを判定できない。そこで研究チームは、両端が高分子鎖に接続され、完全な橋渡し構造を形成した架橋剤の割合を示す「ネットワーク完成度(BCD)」を新たな指標として提案し、無機多孔質材料で重視される完全な骨格接続を高分子ネットワークにも定量的に適用した。

研究概要:[左] ネットワーク完成度(BCD)を高めることで、高分子分子ふるい膜の水素分離性能を向上させる戦略の模式図。[右] 水素分離膜の主要な性能指標である水素透過性と水素/不純物選択性の変化を、性能ベンチマークと比較して示したもの。性能向上に直接関係する構造変化も模式的に示している。
(出典:いずれもKAIST)

開発した膜ms-oDMB-DB50はBCD73%を達成し、元の材料DB50より水素透過性と水素/窒素選択性がともに大幅に向上した。膜内には二酸化炭素(CO2)が侵入できない3Å未満の超微細孔が多数あった。水素より小さいヘリウム分子をプローブとして使う「密度プローブ法」も提案し、超微細孔の存在を実験的に確認した。膜は性能を失わず100時間安定して作動し、引張強度は既報の高性能高分子膜の約2倍であった

筆頭著者で、現在は韓国科学技術研究院(KIST)の博士研究員を務めるイ・ホンジュ(Hongju Lee)博士は、ネットワークがどの程度完全に接続されているかを数値で定義し、分離性能と直接結び付けた点が本研究の特徴だと説明した。同教授は「レゴブロックのようにかみ合う架橋剤で高分子鎖を縫い合わせ、小さな水素ガス分子だけを選択的に通すネットワークを膜内に形成しました」と語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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