韓国科学技術情報通信部(MSIT)は、国家科学技術諮問会議の審議を経て、「第5次科学技術人材育成・支援基本計画(2026~2030年)」を確定した。少子化による学齢人口の減少や、世界的なAI人材獲得競争の激化を背景に、「科学技術者になりたい国、科学技術者が尊重される国」をビジョンとして掲げ、今後5年間の人材戦略を示した。
計画では、「機会と報酬が確実な研究エコシステムの構築」、「科学技術人材の多様性・流動性の強化」、「国家的人材管理体制の構築」の3大戦略の下、10の重点課題を推進する。
第1の戦略である「機会と報酬が確実な研究エコシステムの構築」では、研究者が安定した環境で研究に専念できる体制整備を進める。AIや国家戦略技術分野への対応強化に向けて政府系研究機関や科学技術系大学の研究人員を拡充するほか、ポストドクターを大学の正式構成員として位置付ける制度改正を推進する。また、研究企画や設備運営、技術事業化を担う「Staff Scientist」を専門職として育成する。処遇面では、「国家科学技術者制度」を新たに導入する。世界トップレベルの研究者を対象に、2026年から毎年20人のリーダークラス研究者、2027年から毎年200人の次世代研究者を選定し、研究活動費や名誉的支援を提供する。さらに、長期・挑戦的研究への支援拡大や研究費管理の簡素化を通じて、研究者が研究そのものに集中できる環境づくりを進める。
第2の戦略は「科学技術人材の多様性・流動性の強化」である。初等・中等教育段階から理工系人材の裾野拡大を図るため、「スマート科学実験室」の全国展開や科学英才学校の新設を進める。また、学士・修士・博士課程を連結するファストトラック制度を拡充し、優秀人材の早期育成を支援する。大学院生向けには韓国型スティペンド制度を拡大し、理工系学生の経済的不安を軽減する。AI人材育成にも重点を置き、AI重点校やAI専門大学院の拡充、GPUなど研究インフラ整備を進める。さらに、2030年までに海外トップ研究者2000人の誘致を目標に掲げ、ビザ制度や生活支援パッケージの強化を行う。
第3の戦略「国家的人材管理体制の構築」では、省庁ごとに分散している人材政策と投資を国家レベルで統合する。教育、研究、就職、移動までの人材データを一元管理する仕組みを構築し、データに基づく人材需給分析や政策立案を推進する方針だ。
韓国政府は今回の計画を通じて、人材政策の重点を「育成」から「成長・活躍」へと移し、AI時代の研究力・産業競争力の強化と世界的な科学技術人材強国への飛躍を目指している。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部