2026年10月
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エントロピー安定化触媒で温室効果ガスCF4を高効率・長期分解韓国KAIST

韓国科学技術院(KAIST)は9月3日、同院とサムスン電子の研究者らが、半導体製造工程で使用される温室効果ガスの四フッ化炭素(CF4)を長期間にわたり高効率で除去できる新たな触媒を開発したと発表した。研究成果は学術誌Angewandte Chemie International Editionに掲載された。

KAIST研究チーム(左から)チ・スンヒョク(Seunghyuck Chi)博士研究員と、チェ・ミンギ(Minkee Choi)教授

CF4は、半導体ウエハーの不要な部分を選択的に除去して微細回路を形成するドライエッチングなどに使われる。炭素とフッ素が極めて強固に結合しているため分解しにくく、大気中に放出されると約5万年間残留し、地球温暖化への影響は二酸化炭素(CO2)の6000倍を超える。製造現場では高温下で水蒸気と触媒を用いて分解するが、生成するフッ化水素(HF)と水分が強い腐食環境を生み、触媒粒子の凝集や構造変化によって性能が低下していた。

サムスン電子
(出典:いずれもKAIST)

KAIST生命化学工学科のチェ・ミンギ(Minkee Choi)教授らは、複数種類の原子を均一に混合すると、複雑で無秩序な構造によって相変化が起こりにくくなる「エントロピー安定化」を利用した。アルミニウム、亜鉛、ガリウム、ニッケル、コバルトを単一のアルミネート結晶構造に均一に取り込み、高温、水分、フッ素が同時に存在する条件でも凝集や構造変形に強いエントロピー安定化アルミネート(ESA)触媒を開発した。

新触媒のCF4分解に対する固有活性は、従来のアルミナ触媒の約2.3倍であった。約800℃で150時間行った加速試験では、従来触媒のCF4転化率が93%から48%に低下した一方、新触媒は98%から92%への低下にとどまった。また、酸素同位体による追跡から、触媒が自身の構造内の酸素でCF4を分解し、消費した酸素を周囲の水蒸気が補充することで反応が続く過程を、世界で初めて実験的に確認した。

筆頭著者は同学科のチ・スンヒョク(Seunghyuck Chi)博士研究員で、サムスン電子の研究者らが共著者として参加した。同教授は「自然界の無秩序が構造をより安定させ得る原理を触媒設計に適用し、高いCF4分解性能と長期安定性を同時に実現しました。金属の種類と組み合わせを変えることで、さまざまな半導体工程ガスの処理用触媒に拡張できる新たな材料設計戦略です」と述べた。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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