韓国の高麗大学校(Korea University)は9月9日、同大学校の研究者らが従来型と生分解性のいずれのマイクロプラスチックも水生生物の成長を阻害する一方、プラスチックの種類によって異なる遺伝子発現パターンを示すことを明らかにしたと発表した。研究成果は学術誌Environmental Pollutionに掲載された。
生分解性プラスチックは、自然環境で容易に分解されず廃棄物問題を引き起こす従来型プラスチックの代替品として注目されている。しかし、生分解性プラスチックからもマイクロプラスチックが生じ、その毒性影響が従来型マイクロプラスチックと同程度か、それ以上であることを示す研究も報告されている。
高麗大学校環境生態工学部のチョン・ジンホ(Jung Jinho)教授、ニック・ヌルヒダユ・ニック・ムト(Nik Nurhidayu Nik Mut)博士らは、従来型プラスチックのポリエチレンテレフタレート(PET)と、生分解性プラスチックのポリ乳酸(PLA)から生じたマイクロプラスチックが、淡水生態系を代表する動物プランクトンのオオミジンコに及ぼす影響を比較した。成長や繁殖など一般的な個体レベルの毒性指標に加え、生物が遺伝子発現によって産生するRNA分子の総体であるトランスクリプトームを解析し、慢性的な曝露の影響を分子レベルで調べた。
その結果、PLAマイクロプラスチックもPETマイクロプラスチックと同様にオオミジンコの成長を阻害したが、分子レベルの毒性影響は異なった。PLAへの曝露では、活性酸素種による細胞損傷である酸化ストレスが生じ、その防御に関与する遺伝子が広範に活性化した。一方、PETへの曝露では、生体構造の形成や物質輸送に関係する機能の抑制がより顕著で、主に転写および転写後の調節過程に変化が認められた。本研究は、毒性影響の背景にある分子経路を特定した点に意義がある。
同教授は「マイクロプラスチックが生物に及ぼす影響を十分に理解するには、成長や繁殖などの個体レベルの毒性指標と、遺伝子発現などの分子レベルの情報を統合する必要があります」と説明した。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部