2026年10月
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半導体の超微細加工で黒鉛を使わない電池の寿命延長へ 韓国KAIST

韓国科学技術院(KAIST)は9月22日、同院と慶北大学校、国立ナノファブセンターの研究者らが、半導体製造の超微細加工を応用し、黒鉛などの負極材料を使わない「負極フリー電池」の寿命を延ばす技術を開発したと発表した。研究成果は学術誌Advanced Functional Materialsに掲載された。

コンセプトイラスト(AI生成)
(出典:KAIST)

従来のリチウムイオン電池は充電時に黒鉛などの負極材料にリチウムを蓄えるが、負極フリー電池では薄い銅箔上に直接析出させる。負極材料の重量と体積を省けるため、同じ大きさの電池により多くのエネルギーを蓄えられる可能性がある。しかし、充放電を繰り返すとリチウムが不均一に析出し、枝状やとげ状の「デンドライト」に成長する。保護層も不安定になり、性能と寿命が急速に低下する。余分なリチウムや厚い保護層を加える従来の対策では、電池が重く厚くなる。

KAIST化学・生物分子工学科のイ・ジンウ(Jinwoo Lee)教授とチョン・ヒテ(Hee-Tae Jung)教授らは、半導体の超微細加工に用いる二次スパッタリング・リソグラフィー(SSL)で、銅箔上に直径約300ナノメートル、高さ約150ナノメートルの微細な管状構造を形成した。リチウムが析出できる表面積は平らな銅箔の約4倍となり、局所的なとげ状の成長を抑えるのに役立った。

さらに、銅箔を二次元材料MXene(マキシン)で約10ナノメートルの薄膜で覆った。MXene自体が保護層になるのではなく、その形成に必要な成分を引き寄せる下塗り材の役割を果たす。使用したLiPF₆系電解液では、電池の作動中にフッ化リチウム(LiF)を豊富に含む丈夫な保護層の形成を促す。この層は、リチウムと電解液の不要な反応や、とげ状の成長を抑える。研究チームは空気への露出を抑えて電極の表面と断面を分析し、保護層がMXeneに沿って均一に形成されることを確認した。

KAISTのキム・ウンジ(Eunji Kim)氏、チョン・ヒョンジュ(Hyunju Jung)氏、キム・ジヌク(Jinuk Kim)氏が共同筆頭著者を務めた。イ教授は、電解液全体の組成を変えたり余分なリチウムを加えたりせずに、均一な析出場所と安定した保護層をつくれると説明した。重量と体積の増加を抑えつつ寿命を延ばし、高エネルギーの負極フリー電池の実用化を加速させる基盤になると期待する。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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