2026年10月
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水を通さず水素イオン運ぶパラジウム膜でアンモニア合成 韓国KIER

韓国エネルギー技術研究院(KIER)は9月21日、同院の研究者らが、水を通さずに水素イオンを選択的に運ぶパラジウム膜を開発し、水素ガスに代えて水を直接利用する電気化学的なアンモニア合成に適用したと発表した。研究成果は学術誌Advanced Scienceに掲載された。

電気化学セルの分離膜は、反応物や生成物、溶媒が混ざるのを防ぎ、反応に必要なイオンを通す。従来主に用いられてきたイオン交換膜などの高分子膜には、水とイオンを通す細い通路がある。しかし、イオンとともに望ましくない分子も膜の反対側へ移る「クロスオーバー」が装置の性能と安定性を損なう。クロスオーバーを抑えるとイオンの輸送速度も低下するという課題があった。

研究チームが用いた緻密なパラジウム膜は水素原子を選択的に取り込み、ほかの化学種の通過を防ぐ。電場をかけると、膜の片側にある水素イオンが水素原子に変わって金属内部を拡散し、反対側で再び水素イオンとなって溶液中に放出される。その間、両側の溶媒、反応物、生成物は分離されたままとなる。

KIERのチームは、ソウル大学のファン・ユンジョン(Yun Jeong Hwang)教授が率いる研究チームと協力し、この膜をアンモニアの電気化学合成に適用した。合成が行われる有機溶媒側には、水ではなく水素イオンを送る必要がある。微量の水でも合成効率が大きく損なわれ得るが、水素イオンだけを運ぶ実用可能な技術がなかったため、従来は主に水素ガスが原料として使われてきた。今回、韓国で初めて水を直接利用するアンモニア電気合成プロセスを実現した。水から水素イオンを取り出し、再生可能エネルギーで動かすこの合成法は、炭素排出量の大幅な削減が期待できる。

研究を率いたKIERのキム・ジェヒョン(Jae-Hyung Kim)博士は「提案した新たなイオン輸送の仕組みは、電気化学装置によるグリーンアンモニア合成の主な障壁であるクロスオーバー問題に有効な解決策をもたらします」と述べ、アンモニア合成以上に厳密な物質分離を要するさまざまな電気化学装置への応用可能性も強調した。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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