【The Conversation】 彗星か、ロケットか、宇宙ごみか、隕石か?—火球の見分け方

空を閃光が横切った!火球を目撃した何千人もの人々は携帯やドライブレコーダーの映像をすぐにソーシャルメディアに投稿する。

しかし、人々が見たものは何だったのか?ソーシャルメディアには多種多様なハッシュタグが見られることから、頭上を横切った物体について混乱が生じていることが分かる。ソ連の金星探査機か? イーロン・マスクの衛星かロケットか? 隕石なのか?彗星なのか?

これらの物体にはいくつかの類似点はあるものの、決定的な違いがあり、頭上を通過したものの正体を理解するのに役に立つ。

流れ星、隕石、彗星

田舎では、暗く澄んだ夜に流れ星が空を横切る短い閃光として見られることが多い。通常、流れ星はほんの1、2秒で消えてしまう。

流れ「星」とは言うものの、もちろん、恒星ではない。流れ星は、通常高度50km以上の大気圏上空で塵や小石が燃えることによって発生する。この塵の発生源は彗星であることが多く、地球が彗星の軌道を通過する際に、定期的に流れ星が生まれる。

流れ星は一瞬の閃光なので、このレベルで詳細に撮影するにはカメラの設定が適切なければならない
Andrew Xu/Flickr, CC BY-NC-ND

流れ星は、鉄、マグネシウム、カルシウムなどの成分を反映した色を呈して燃える場合がある。

隕石と流れ星は実際には同じものである。しかし、人々が隕石という言葉を使うとき、多くの場合、流れ星より大きく明るいもの、つまりボライド(爆発火球)を指す。岩石や巨石が地球の大気圏に突入するとボライドが発生し、その結果、夜空のすべての星や惑星に勝るほど明るい閃光が生まれる。

ボライドは下層大気圏に到達することもあり、時には音を伴うソニックブームを発生させる。また、ボライドの破片、つまり隕石が地表に到達することもある。

チェリャビンスクの火球はボライドだった

ボライドの寿命は流れ星よりも長いが、いつまでも続くわけではない。当初のスピードは秒速数十キロメートルであるので、大気圏を通過するのに大して時間はかからない。

ここ1世紀で地球に衝突した最大のボライドとして知られるチェリャビンスク隕石は、わずか20秒間だけ明るく輝いた。

空を横切る炎のような輝きが見えても、それが彗星ということはほぼあり得ない。彗星は地球から非常に遠く離れており、人間の目にはその驚異的な速度をとらえることはできない。さらに、彗星は燃える物体として描かれることもあるが、その光はかなり見つけにくいものである。

宇宙ごみ

もしかしたら、今見た明るい閃光は宇宙ごみだったのだろうか?その可能性はある。近年、軌道ロケットの打ち上げや衛星の数が急増しており、その結果、廃棄されたロケットの切り離された部分が大気圏に再突入するときに見られる壮大な現象がいくつも発生している。

隕石同様、宇宙ごみも大気圏を猛スピードで移動し、壮観に燃え上がり始める。また、隕石のように、鋼鉄やアルミニウムなどの物質が燃えていることを示す色も見られる。しかし、宇宙ごみと流星を区別できるいくつかの点がある。

ロケットや衛星が軌道に打ち上げられると、通常は地球の曲率にほぼ沿った軌道をたどる。そのため、宇宙ごみが大気圏に突入し始めると、多くの場合、ほぼ水平方向に移動する。

宇宙ごみは流星や隕石よりも速度が遅く、地球の大気圏に突入する速度は約秒速8キロメートルである。秒速数十キロメートルではない。

これらの要因があるため、宇宙ごみが大気圏に突入するまでには数分かかることがあり、その過程で数百キロメートルを移動する。この間に宇宙ごみは減速し、破片に分解されていくが、強度の強い部分が地球に落下する可能性がある。

宇宙ごみを正体とする火球の速度は遅いため、人々が携帯電話を取り出して映像を撮影し、ソーシャルメディアに投稿する時間がある。さらに、ちょっと面白いコメントが添えられていることもあろう。

ロシアのロケットがオーストラリア南東部上空で大気圏に再突入

ロケット

宇宙ごみが光のショーを作り出すように、ロケットもまた素晴らしい光景を繰り広げる。アメリカのケープカナベラル宇宙基地やヴァンデンバーグ宇宙軍基地、あるいはニュージーランドのワイロアの近くにいれば、ロケットの打ち上げを目にすることも珍しくない。煙、炎、そして轟音を体験することになる。

しかし、世界の他の場所では、ロケットの別の姿を目にするかもしれない。

衛星を地球周回軌道に乗せるロケットは、秒速8kmまで加速し、高度100km以上の空間を数百kmも飛行する。米国の場合、衛星を打ち上げると海岸線付近を飛行し、ロサンゼルスなどの大都市上空を通過することが多い。

ロケットが軌道に近づくにつれて、その炎や騒音は打ち上げ時ほど大きなものではなくなっていく。ロケットは排気ガスの煙を噴出し、その煙は真空の宇宙空間で急速かつ静かに膨張していく。

この煙は通常、打ち上げ場の近くで見られるが、他の場所でも見ることができる。

ロケットの中には、衛星をさらに高い軌道に乗せたり、太陽系に探査機を送り込んだり、ロケットを減速させて再突入させたりするために、初期軌道に到達した後にエンジン点火が行われるものがある。また、ロケットは余剰燃料を宇宙空間に放出することもあり、これもまたガスの煙や渦巻きを発生させる。煙や渦巻はいつも発生するというわけではないが、世界中で観測されている。

西ヨーロッパ上空での軌道離脱燃焼

見上げよ

夜空には、見慣れた月、星、惑星など、多くのものが見える。しかし、思いがけないものが見えることもある。それは数分間あるいは数秒間きらめき、空を横切っていく。初めて火球を見た時は戸惑うかもしれないが、多くは見分けがつくので、何を目撃したのかはわかる。

幸運にも火球を実際に見たことがあるだろうか?もしまだなら、晴れた暗い夜に外に出てみるといい。もしかしたら、思いがけない何かが見えるかもしれない。

(2025年5月26日公開)

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