洪水、干ばつ、熱波は、世界でもオーストラリアでも、依然としてニュースの見出しを独占している。
ここ数日間、オーストラリア南東部では猛暑の中、数百件の山火事が発生した。また、クイーンズランド州北部では、いくつもの地域が亜熱帯性サイクロンである「コジ」による豪雨と鉄砲水に見舞われた。コジは、今シーズン7番目のサイクロンである。
これらの災害の背後には、深い、だが目に見えにくい影響が潜んでいる。地球規模で水循環が変化し続けているのだ。水循環とは、水が蒸発し、雨や雪となって降り、最終的に再び蒸発するというプロセスを指す。本最新報告書は、降雨量、気温、湿度の変化が組み合わさり、2025年に世界中で水関連の災害が拡大した様を伝える。
これらの洪水や火災は、単なる単発的な異常気象ではなく、地球温暖化によって水循環がますます不安定になってきていることの兆候である。
地球の水循環は、大気、陸地、海洋、氷を結びつける。水は陸地と海から蒸発し、雨や雪となって降り注ぐ。水は氷河、河川、湖、地下水となり、最後には再び蒸発するか、海洋へと流れ込む。この循環を作るのは太陽エネルギーである。そして、地球温暖化が進むにつれて、この循環はパワフルで予測不可能なものとなっていく。
2024年の陸上気温は最高記録を示したが、2025年の気温はそれよりわずかに低いだけだった。これは急激に進む地球温暖化に合わせて、過去3年間が記録上最も暑かったことを意味する。
気温の上昇は土壌、植生、陸水からの蒸発を加速させるため、乾燥状態になるペースは以前よりも速い。同時に、暖かい空気は多くの水分を保つため、激しい降雨が発生する可能性は高まる。これらの流れが共に起きると、洪水と干ばつの両方が激化し、時には連続して発生することもある。
2025年には、極端な降雨の直後に猛暑と乾燥に見舞われるというパターンが世界の多くの地域で見られた。科学者たちは、このような乾燥と湿潤の極端な変動を「気候のむち打ち」と表現する。
気候のむち打ちは、極端な湿潤現象と乾燥現象が次々と発生することである。そのため、生態系、インフラ、地域社会は対応に苦労する。2025年にスペインとポルトガルで発生した大きな山火事はその一例である。
イベリア半島の一部では、春の雨量が例年より多く、植生の成長は促進された。その後、突然の熱波が発生し、土壌の水分が急速に失われた。植生が急速に乾燥したため、春の終わりに深刻な山火事が引き起こされた。
オーストラリアでは、去年、気候により水循環の変化にも見舞われた。2025年2月、サイクロン「アルフレッド」がクイーンズランド州南東部に上陸した。ここまで南の地域にサイクロンが上陸するのは前例がないわけではないが、50年ぶりのことであった。その後数か月にわたり、クイーンズランド州の他の地域は豪雨と深刻な洪水に襲われた。
また、2025年初頭にクイーンズランド州北部付近で発生した熱帯低気圧は、サイクロンに匹敵する降雨量をもたらした。一部の地域では数日間で1000ミリメートルを超える雨が降り、タウンズビルでは記録上最も雨量の多い月となった。
この災害は、住宅、交通機関、インフラサービスに広範囲にわたる被害をもたらし、経済的損失は12億豪ドルを超えた。
湿潤な気候と高温が相まって、前例のない類鼻疽の流行も引き起こした。類鼻疽とは土壌や淡水に自然に存在する細菌によって引き起こされる疾病であり、降雨や洪水によって細菌が地表に噴出すると危険なものとなる。5月までにクイーンズランド州保健局は221人の感染と31人の死亡を記録し、州史上最大の流行となった。
この出来事は、異常な水循環が自然の生態系と人体の仕組みに与える影響を教えてくれる。クイーンズランド州とニューサウスウェールズ州北部では、豪雨と洪水が日常的に発生している。
2025年発生したいくつかの現象は、水循環の様々な側面が不安化していることを示す。ヒマラヤ山脈では、温暖な気候の後、わずか数か月の間に、氷河湖の洪水が相次いで発生した。このようなことは、かつてなかった。
一方、赤道付近では珍しくもサイクロンが発生し、インドネシアとマレーシアの人々を驚かせた。
歴史的に発生が稀な地域でサイクロンが頻発するようになったということは、海洋の温暖化と大気条件の変化が水関連の災害の発生範囲を拡大していることを反映している。
Major disasters are shown by location, timing and disaster type. Events are grouped by calendar quarter.

2025年の水関連災害により世界全体で約5000人が死亡し、約800万人が避難を余儀なくされ、3600億米ドル(5360億豪ドル)を超える経済的損失が発生したことが、本報告書で発表されている。
ヨーロッパでは、長期にわたる熱波により、数千人が熱中症で亡くなった。また、南アジアと東南アジアでは、フィリピン、タイ、マレーシア、バングラデシュなどの国々で洪水が発生し、数百万人が避難した。
これは、大気から土壌条件、河川流量、表層水に至るまで、水循環のさまざまな部分が、進行中の地球温暖化に影響を与えることを示している。
本報告書から、備えが極めて重要であることが分かる。2025年12月に米国西海岸で発生した大規模洪水その他の災害では、早期警報システムと避難計画があったおかげで多くの命が救われた。しかしながら、歴史的に安定した状態を想定してインフラが設計されていた地域でも、大きな混乱と経済的損失が発生した。
2025年末時点の地球の水循環の状況から、2026年には地中海、アフリカの角、ブラジル、中央アジアの一部で干ばつリスクが高まることが分かる。一方、サヘル、サハラ砂漠南部、アフリカ南部、オーストラリア北部、そしてアジアの大部分では、湿潤な状態は洪水や土砂災害のリスクが高いままであることを意味する。
気候が不安定である限り、地球の水循環はさらに変動しやすくなると考えられる。水が気候システムの中でどのように移動し、ある極端な状態から別の極端な状態へとどれだけ速く変化するかを理解することは、将来の災害の影響を軽減するのに役立つ。熱波と水の極端な状態の両方を管理することが、急速に温暖化する世界への適応の鍵となる。
(2026年1月23日公開)