2021年04月
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幾何解析分野で多大な貢献 ヴァギース教授に豪ハンナン・メダル

オーストラリア研究会議(ARC)は3月15日、同国のアデレード大学数理科学部のマタイ・ヴァギース(Mathai Varghese)教授がオーストラリア科学アカデミーから名誉あるハンナン・メダル(Hannan Medal)を授与されたと発表した。

選出理由として、多様体の幾何学的、解析的、代数的性質が関与する幾何解析の分野で多大な貢献をしたことを挙げ、「分数指数理論(Fractional Index Theory)と射影指数理論(Projective Index Theory)を共同で考案した。分数指数理論を無限次元ループ空間に拡大適用した近年の共同研究も非常に意義が大きい」としている。

ヴァギース氏は高校時代、インド・バンガロールのブリティッシュ・カウンシルの図書館で借りた幾何学的位相学の本を元に高等数学を独学した。そのレベルは当時の高校のカリキュラムよりかなり高度なものだったという。1986年に米国のマサチューセッツ工科大学(MIT)で博士課程を修了し、シカゴ大学でポスドク研究員を務めた。89年にアデレード大学に着任。2000~01年はMITのクレイ数学研究所フェローに選任された。

専門分野は楕円型微分方程式の理解に資する指数理論で、その研究は数学だけでなく、物性物理学、ひも理論のような数理物理学の領域においても数多く応用されている。ヴァギース教授はアデレード大学着任以来、影響力が大きく高被引用の論文を複数発表している。その業績は幾何学、位相数学、楕円型微分方程式の理解に欠かせないものとなっている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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