2021年06月
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「仮想の人体」作成でオークランド大のプロジェクトを支援 NZ政府

ニュージーランド政府 企業・イノベーション・雇用省(MBIE)のカタリスト基金(Catalyst Fund)は5月3日、人体の数理モデルを医療に活用することを目指すオークランド大学バイオエンジニアリング研究所(ABI)のプロジェクト「12 Labours」に1,500万ドルの研究資金を提供した。

このプロジェクトは、過去の臨床研究のデータを用いて人体の数理モデルを作成し、個人に合わせて調整することで、最終的に患者一人一人に合わせて個別化された診断や治療を可能にすることを目指している。ABIの主導の下、独シュトゥットガルト大学を始め世界の様々な研究機関と共同で進められており、今後もオックスフォード大学、ハーバード大学を含め欧米の多数の学術機関の研究者が参加する予定という。

「12 Labours」はABIが主導する国際プロジェクトであり、人体全体の仮想モデルの作成に取り組む「フィジオーム(Physiome)」プロジェクトから派生した。今回の助成金を利用して、ABIの研究チームは肺高血圧症、上肢リハビリ、自律神経系による臓器機能の制御という3領域に特化したテクノロジープラットフォームを作成することを計画している。

MBIEの科学・イノベーション・国際部門を統括するピーター・クラブトリー(Peter Crabtree)博士は助成金について「ニュージーランドの研究者が世界のトップ研究機関と連携し、人類にとって本当に価値のある領域におけるこの国のリーダーシップを強化するための支援を提供する」と述べた。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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