オーストラリアのロイヤルメルボルン工科大学(RMIT)は5月19日、独シーメンス(Siemens)と共同で、スマートシティの電力系統をシミュレーションするためのプロジェクト「Digital Energy TestLab」を立ち上げることを発表した。
写真提供:ロイヤルメルボルン工科大学
このプロジェクトは、学生と研究者に対し、データアナリティクス、IoT(モノのインターネット)、最先端のハードウェアやソフトウェア等の先端テクノロジーを提供し、実世界のシナリオのテストやモデル化、国全体や地域の電力系統の最適化に関する研究を支援するもので、ビクトリア州でこうした試みは初めてとなる。
このプロジェクトは、RMITとシーメンス、独フエスト(Festo)が2020年6月に取り交わした、「インダストリー4.0(第4次産業革命)」に向けた産業と人材の改革に関する覚書(MoU)に基づいている。
学生は、国内の総配電網と地域の小規模な電力系統(マイクログリッド)の2領域のシミュレーションを行うことができる。
シーメンス・オーストラリアの会長兼CEO、ジェフ・コノリー(Jeff Connolly)氏は、デジタル化やエネルギーといった重要問題の解決に向け教育界と産業界が協調することの重要性を強調した。また、TestLabでは、学生が同社のテクノロジーを使用して「自然災害や停電の際に送配電網の安定性を維持するためのデータを扱う経験」や、「風力や太陽光発電、貯蔵、電気自動車の充電、インフラ等の発電源の動的状態や影響について理解する機会」を得られるという。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部