ニュージーランドのカンタベリー大学は5月21日、同国政府の2021年予算で南極のスコット基地(Scott Base)の改修費用として3億4,400万NZドル(約280 億円)が計上されたことについて、同大学の関係者から歓迎する声が挙がっていることを発表した。
南極のエンペラーペンギン 写真提供:ミシェル・ラルー(Michelle LaRue)氏(カンタベリー大学)
改修費用は、基地の建て替えと風力発電設備の交換に充てられる。南極大陸での持続可能性に向けた目標の達成と、ニュージーランドの長期的なプレゼンスを強化するための計画となる。
同大学の南極研究機関「Gateway Antarctica」の所長であるエイドリアン・マクドナルド(Adrian McDonald)教授は、南極でのニュージーランドの研究能力を高めるたいへん重要な投資であり、政府が科学者と連携して最先端の研究のための施設づくりに向けて取り組んでいることに感銘を受けたと述べた。
同大学人文学科で南極の政治を研究するアン=マリー・ブレイディ(Anne-Marie Brady)教授は、今回の計画はニュージーランド軍が発表した南極巡視船への投資と併せ、「南極のガバナンス(統治)に関する活動にニュージーランドが参加」することを可能にするものだとし、国際政治上の重要性を強調した。
また、同大学工学科のロブ・リンデマン(Rob Lindeman)教授は通信ネットワークやリモートの観測設備、水上・地上・空中用無人機等の開発や設置といった、技術面での連携の可能性に期待すると表明した。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部