2021年07月
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臭いまで再現した下水管内作業のVRシミュレーターを開発 豪大学

オーストラリアのディーキン大学(Deakin University)は5月17日、ビクトリア州の水資源管理機関「メルボルン・ウォーター」(Melbourne Water)と共同開発した下水管内作業のシミュレーターが、2021年度の「オーストラリアウォーターアワード(Australian Water Awards)」で水産業界安全優秀賞(Water Industry Safety Excellence Award)を受賞したと発表した。

この「VR閉鎖空間作業シミュレーター(Virtual Reality Confined Space Entry (CSE) Simulator)」は、下水管等の閉鎖空間に入って保守・修理作業を行うメルボルン・ウォーターの職員や請負業者のトレーニング用に開発されたものである。VRとトレッドミルやハーネス、ウィンチ(巻き上げ機)等の器具、臭いを組み合わせて実際の水道管内の状況を再現し、危険な環境下での作業を正確にシミュレーションする。

このようなシミュレーターは世界で初めてであり、今後、水道業界だけでなく、石油、ガス、鉱業等、危険な作業を必要とするさまざまな業界で活用できる可能性がある。

開発チームを率いた同大学CADET VRトレーニング・シミュレーション研究室(CADET Virtual Reality Training and Simulation Research Lab)室長のベン・ホラン(Ben Horan)准教授はシミュレーターについて「これまで不可能だった形でVR環境と対話できる新しいプラットフォーム」だといい、産学連携で達成できる優れた成果を示すものだと語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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