オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は7月8日、CSIROが共同運用する地球観測衛星NovaSAR-1への撮影指示を出す国内の研究者を、農業や自然災害管理等の産業分野から募集することを発表した。地球観測衛星の撮影を独自に管理することはオーストラリアにとって初めての試みであり、同国の宇宙産業の成長に寄与することが期待される。
NovaSAR-1は、英サリー・サテライト・テクノロジー(Surrey Satellite Technology)が開発したSバンド合成開口レーダー(synthetic aperture radar: SAR)を搭載した衛星であり、雲等の天候条件に左右されず地表面の画像を撮影できる。CSIROはNovaSAR-1の運用時間の10%を購入しており、この所有部分を国立研究施設として運用し、国内の研究者が利用できるようにするという。
写真提供:英サリー・サテライト・テクノロジー
衛星データは、アボリジニが運用する非営利組織「適正技術センター(Centre for Appropriate Technology: CfAT)」が所有する、アリススプリングス近郊の受信局で受信される。
CSIROの衛星運用・データ管理者を務めるエイミー・パーカー(Amy Parker)博士によると、NovaSAR-1のような画像はこれまでオーストラリアでは広く利用されてこなかったという。パーカー博士はNovaSAR-1について「有望な新しい地球観測リソースであり、我々の衛星運用能力を構築することにも役立つだろう」と語った。
NovaSAR-1を利用する研究者は研究計画の科学的価値に基づき、独立委員会の審査を経て決定されるという。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部