2021年09月
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耐熱性のある新規コロナワクチンの開発でインドに協力 豪CSIRO

オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は7月15日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の変異株に効果を発揮し耐熱性もある新規のワクチン製剤の開発に協力したことを発表した。このワクチン製剤は、インド理科大学院(Indian Institute of Science: IISc)とバイオテクスタートアップの「Mynvax」が開発した。低温保存が困難な地域に適したワクチンの実現に向けて大きな一歩となる。研究成果は科学誌ACS Infectious Diseasesに掲載された。

写真提供:CSIRO

研究論文によると、このワクチンは、マウスにおいて強力な免疫応答を誘導し、ハムスターにおいてウイルスからの保護効果を示した。さらに、37°Cで最大1カ月間、100°Cで最大90秒間、安定性を保ったという。

CSIROの関連研究機関であるジロング市のオーストラリア疾病対策センター(Australian Centre for Disease Preparedness)の研究者は、このワクチンを接種したマウスの血清(血液検体)を検査し、現在、世界的に感染が拡大しているデルタ株を含む主要なコロナウイルス変異株に対する有効性を評価した。

CSIROの新型コロナウイルスプロジェクトの責任者で論文の共同執筆者でもあるS.S.ヴァサン(S.S. Vasan)博士によると、Mynvaxが開発したワクチンを接種したマウスの血清は、全ての変異株の生きたウイルスに対し強い応答を示したという。

インドではこのワクチンの臨床試験を2021年後半に実施することを計画しており、CSIROによる評価が候補製剤の選択に役立つと考えられている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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