2021年11月
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帰国者便の汚水調査で新型コロナ感染の兆候を検出 豪CSIROが調査

オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は、国際線航空機の汚水を分析することで、帰国者の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への感染の兆候を早期に検出できる可能性があると発表した。10月18日付。

これはCSIROが、カンタス航空(Qantas)やクイーンズランド大学(University of Queensland)と共同で実施した汚水調査の結果に基づいており、研究の成果は学術誌 Environment International に掲載された。

調査に協力したカンタス航空 (写真提供:CSIRO)

この研究では、2020年12月~2021年3月にインド、フランス、英国、南アフリカ、カナダ、ドイツ等の感染拡大地域から豪ダーウィン国際空港に到着した、政府が支援する帰国者用特別便(repatriation flight)37便を対象に、機内トイレから収集した下水サンプルを分析した。

その結果、全乗客(5歳未満を除く)が搭乗48時間前の検査で陰性であったにもかかわらず、37便中24便(65%)のサンプルから、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の兆候が検出された。一方、入国後14日の強制隔離期間中に帰国者が受けた臨床検査の結果は、6,570人中112人(1.7%)が感染というものであった。

感染拡大地域からオーストラリアへの帰国便の汚水を調査し、隔離期間中の検査データと照合した正式な研究はこれが初めてとなる。

論文の筆頭著者であるCSIROのワリシュ・アハメド(Warish Ahmed)博士は、海外渡航が再開される中、航空機の汚水検査は、乗客のCOVID-19への感染の可能性を入国時に調べるための効果的な方法になり得ると語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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