オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は11月1日、大気質情報提供アプリ「AirRater」に、同機構の煙予測システムと連携する「煙報告」機能が追加されたと発表した。市民の力を活用して山火事による煙の被害を軽減できる手段になると期待される。
AirRaterアプリの表示
AirRaterは、タスマニア大学(University of Tasmania)のメンジーズ医学研究所(Menzies Institute for Medical Research)が、喘息や花粉症、肺疾患を持つ人を対象に開発したスマートフォンアプリである。今回追加された「煙報告ツール」では、山火事や計画的野焼きにより発生した煙をユーザーが報告でき、報告した情報はCSIROが開発した煙予測システム「AQFx」に直接提供される。
AirRaterプロジェクトの主任研究者であるフェイ・ジョンストン(Fay Johnston)教授は、「人々がAirRaterをダウンロードして煙を報告してくれれば、山火事の煙の移動状況や地域への影響を私たちがリアルタイムで把握するための助けになる」と語った。
AirRaterのユーザーは煙を報告できるだけでなく、AQFxが発信するリアルタイムの情報にアクセスすることもできる。
CSIROで大気質を研究するファビエンヌ・ライゼン(Fabienne Reisen)博士は、「市民がAQFxの情報にアクセスできるようになったことは、子供や高齢者、喘息・心疾患のある人など、煙の悪影響を受けやすい人々にとって特に重要である」と語った。 AirRaterはiOSとAndroidの無料アプリとして提供されている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部