オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は2021年12月2日、クイーンズランド州ブリスベンに、現地資源利用(In-situ Resource Utilisation: ISRU)ミッション用の試験施設を開設したと発表した。特に月面に舞う砂塵のシミュレートに力を入れ、研究者や企業に、月面に近い環境で探査車や機器等の新技術の試験を行える場を提供する。
月面の地形の模型で試験する研究者ら (写真提供:CSIRO)
米国のアポロ計画で明らかになった月面探査における課題の1つが、宇宙服や機器に付着する細かい砂塵である。
オーストラリアのこの新施設は、さまざまな種類の模擬月面砂(lunar regolith simulant)への対処を密閉空間で安全に検証できる設備を備えている。また、タンクや穴(pit)等のより小規模な試験設備のほか、探査車やペイロード、関連機器を遠隔で監視するための管制室もある。
CSIROの宇宙プログラムを率いるキンバリー・クレイフィールド(Kimberley Clayfield)博士は、「月の地形をこの規模でシミュレートできたことは、オーストラリアの宇宙技術における大きな進歩である」とし、「研究者や企業と協力して、将来の宇宙ミッションで使用する技術やシステムの試験を行えることを楽しみにしている」と語った。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部