オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は、国連と共同で世界各国が消費した資源の量を示す「マテリアルフットプリント(material footprint)」について、その消費量を追跡するツールを開発したと発表した。2021年12月10日付。この研究に関する論文は学術誌 Nature Sustainability に掲載された。
このツールは、国際的な材料供給網に関する各国の報告データを追跡し、マテリアルフットプリントに関する信頼性の高い情報を提供する。今回の研究により、世界のマテリアルフットプリントは1970年以降4倍に増加し、今後数十年間は大幅に低下しないと予測されている。
CSIROのハインツ・シャンドル(Heinz Schandl)博士は「世界のマテリアルフットプリントの大きさは、気候変動対策や生物多様性、廃棄物、汚染に関する状況に影響を与える 。オーストラリア政府はこのマテリアルフットプリント指標を用いて、資源の生産やリサイクル、クリーンエネルギーへの取り組みに役立つ情報を提供できる 」と語る。
マテリアルフットプリントは国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」の指標の1つであるが、これまで、世界のマテリアルフットプリントに関する詳細な情報を継続的に提供する機関は存在しなかった。
今回開発された使いやすいツールは、政府機関や学術機関による意思決定の支援に役立つと期待されている。
このツールは、持続可能な消費と生産に関する分析ツールを開発するイニシアチブである「SCP Hotspots Analysis Tool」 のウェブサイト(http://scp-hat.lifecycleinitiative.org(外部サイト))で公開されている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部