オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は、オーストラリアの農家に炭素ビジネスの機会を提供することを目的として、米国のソフトウェア企業リグロウ(Regrow Ag)と新たにライセンス契約を締結したと発表した。2021年12月22日付。
CSIROが開発した炭素削減計算ツール「LOOC-C(ルックシー)」を、リグロウ社の作物管理・分析プラットフォームFlurosenseで提供する。LOOC-Cは、政府による炭素クレジットを用いた炭素削減プログラム「排出量削減基金(Emissions Reduction Fund)」の下で実施可能なさまざまなプロジェクトを生産者が評価し、目標に応じたプログラムを選択できるよう支援するツールである。
リグロウ社は2016年に設立されたオーストラリア企業の「フリューロサット(Flurosat)」を前身とし、近年はグローバルに事業を展開している。同社が提供しているFluroSenseを含む測定・報告・検証(measurement, reporting and verification: MRV)ツール群は、炭素プロジェクトへの農家の引き入れや、炭素クレジット発行のためのデータの定量化や報告、検証を支援している。
CSIROのLOOC-Cプロジェクトの責任者を務めるピーター・フィッチ(Peter Fitch)氏は「リグロウ社にLOOC-Cのライセンスを供与することで、私たちの研究の成果がオーストラリアのカーボンファーミング(carbon farming)業界の成長に活かされることを楽しみにしている 」と語った。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部