2022年02月
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トランジスタの消費電力を10倍以上削減できる方法を発見 豪ウーロンゴン大学

オーストラリアのウーロンゴン大学(University of Wollongong)の研究者による学際研究チームが、負の静電容量(negative capacitance)を持つトランジスタにより、電子機器や演算処理のエネルギー使用量を大幅に削減できる可能性があることを発見した。2021年12月20日付発表。

チームはこの研究の成果を12月11~15日に米サンフランシスコで開催された2021年度国際電子デバイス会議(International Electron Devices Meeting)で発表した。

オーストラリア研究会議の未来の低エネルギー電子技術に関するセンター・オブ・エクセレンス(ARC Centre of Excellence in Future Low-Energy Electronics Technologies)の研究チームは、「トポロジカル絶縁体」を用いたトランジスタに、負の静電容量を持つキャパシタ(capacitor)として機能する強誘電材料を組み合わせることで、低電圧でのスイッチングを可能にし、エネルギー消費量を10倍以上削減できることを発見した。内部は電気を流さないが境界では電気を流す性質を持つトポロジカル絶縁体は、シリコンに代わる新たな量子材料として注目されている。

今回の研究の鍵となったのは、ウーロンゴン大学のシャオリン・ワン(Xiaolin Wang)上級教授と博士研究員のムハンマド・ナディーム(Muhammad Nadeem)博士による量子デバイス理論の研究であった。「トポロジカル量子材料と古典的な強誘電材料を組み合わせることで、量子デバイスの電力消費を大幅に軽減できることを理論的に証明した 」とワン教授は語る。

情報通信技術の電力消費量は、世界全体の電力供給量の約8%を占める。実用化への課題は多く残されているが、今回の成果は、低消費電力トランジスタに向けた青写真を提示するものとなった。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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